[口演O-10-2] コロナ禍で実施した看護業務量調査結果からみた現状と看護補助者との協働に向けた課題
Keywords:看護業務量調査、コロナ禍、看護補助者、PNSⓇ
【目的】A 病院では経年的に看護業務量の推移を調査することで、看護業務の変化がわかり、看護サービスの質改善に向けた取り組みが示唆できると考え2 年ごとに看護業務量調査を実施している。2021 年度はコロナ禍における看護業務の実態把握を目的に調査を行った。【方法】2021 年12 月5 日から12 月11 日まで調査を行った。看護業務を注射業務・記録・日常生活動作の支援・診療場面における援助・業務管理・その他の6 つの大項目に分類し、さらに36 項目の中項目に分類した看護業務分類表を独自に作成し、各勤務帯に応じた5分間単位のタイムスタディ用紙に自記式で記入し看護業務量を測定した。また看護補助者の業務量調査も2021 年12 月6日から12 月10 日まで行った。看護補助者の業務は4 つの大項目をさらに67 の中項目に分類した業務分類表を独自に作成し、看護師同様に業務量を測定した。分析はExcel を用いて単純集計し、2019 年度と比較検討した。個人が特定されないように配慮し、所属施設の倫理審査委員会の承認を得た。【結果】調査期間中、コロナ禍で1 病棟が閉鎖し、病床編成も変更していた。看護業務の大項目で看護師1 人あたりの業務時間の変化は、5 分以内の増減であった。看護師1 人あたりの時間外業務時間の変化も各勤務帯で5分以内の増減にとどまった。日常生活動作の支援で看護師の清拭時間をみると9 時、10 時で最多となった。看護補助者の調査では、この時間帯は環境整備に多くの時間を費やし、清拭時間は13 時、14 時が最多であった。【考察】コロナ禍で1 病棟が閉鎖し、病床編成も変更していたが、業務時間において大きな変化は認めなかった。A 病院の看護ケア提供方式であるパートナーシップ・ナーシング・システムⓇ(PNSⓇ)を活かし、コロナ禍での変化に柔軟に対応できていることが示唆された。看護師と看護補助者において、ケア時間にずれが生じていることがわかった。看護師と看護補助者がともにケアを行うことは、看護補助者のスキルの向上となり、患者への安全・安心なケアにつながる。看護師とケアができるよう看護補助者のタイムスケジュールの調整や見直しを図っていくことが必要である。看護師がより専門性を発揮し看護サービスの質の向上を図るためには、看護師と看護補助者が協働し業務の効率化を図り、患者にとって安全・安心なケアを実践していくことが重要である。