第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演11群 健やかに生まれ育つことへの支援

Fri. Sep 29, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 口演会場4 第9会場 (1202)

座長:石川 紀子

[口演O-11-1] 産科混合病棟のインシデント発生と病棟背景の関連

入羽 美緒, 山岡 美納子, 浦 知恵 (福井県立病院)

Keywords:産科混合病棟、インシデント、病棟背景

【目的】総合病院であるA 病院B 病棟では、COVID-19 流行後2021 年1 月に産科単科から混合病棟となり、他診療科入院患者の受け入れを開始、2021 年のインシデントレポートが前年の1.5 倍に増加した。病棟安全管理の基礎資料を得るため、病棟背景をインシデント発生があった日となかった日で分析し、関連因子を検討する。【方法】調査期間:2021 年1 月1 日~ 12 月31 日。データ収集方法:B 病棟のインシデントレポートより発生日、患者の診療科、インシデントレベルを調査した。病棟背景として「他診療科患者数」「新生児数」「看護必要度基準超え患者数」「手術件数(流産手術含む)」「出産件数」の5 項目を調査した。分析方法:EZRversion1.54 を使用し、Mann-Whitney U 検定とロジスティック回帰分析(有意水準5%未満)を行った。本研究はA 病院倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】入院患者数延べ7781 名、新生児数延べ1890 名、他診療科患者数延べ1107 名(14.2%)であった。2021 年1 年間では12 診療科の患者が在棟し、1 日の最多入院診療科は7 診療科であった。看護必要度評価対象患者のうち、延べ看護必要度基準超え患者数は207 名であった。手術件数は236 件、うち44.1%が他診療科の手術であった。出産件数は321 件であった。インシデント報告件数は65 件で、レベル0 は32.3%、1 は46.2%、2 は20%、3 は1.5%、1 年のうち57 日に発生が報告された。診療科別の報告割合は、産科・小児科(新生児)が64.6%、他診療科が35.4%であった。インシデント発生があった日(あり群)となかった日(なし群)では、「他診療科患者数」「新生児数」「手術件数」が多い日に有意にインシデントが発生し、インシデントレベル2以上においては「他診療科患者数」に有意差を認めた。インシデント発生あり群となし群をロジスティック回帰分析した結果、「他診療科患者数」にのみ有意差を認めた。【考察】産科混合病棟特有の病棟背景のうち、手術件数、新生児数、ことに他診療科患者数がインシデント発生に関連しており、産科混合病棟における安全管理上重要な指標になると推察された。新生児が入院患者に含まれない産科混合病棟において、今後はその管理体制の見直しや、他診療科に関する新たな知識及び技術の習得が必要である。