第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

口演

口演12群 DiNQLを活用した看護の質向上

2023年9月29日(金) 15:00 〜 16:00 口演会場4 第9会場 (1202)

座長:板東 由美

[口演O-12-3] DiNQL データの活用のための副師長研修の効果と課題

座古 嘉代, 吉岡 正恵, 岡本 綾子, 辻野 美由起, 上田 節子 (大阪公立大学医学部附属病院)

キーワード:DiNQL、看護管理者、院内研修 データ活用

【背景】A 病院は、2015 年よりDiNQL 事業に参加している。副師長の職位ではDiNQL のベンチマーク操作やデータ活用が不十分であった。今回、副師長がデータを活用でき、自部署の現状分析が行えることを目的にDiNQL の基礎知識とデータ活用に関する研修を行った。その効果と課題を明確にし、今後の研修計画の示唆を得て看護管理のツールとして活用できることを目指したいと考えた。【取組み内容】A 病院副師長を対象としたDiNQL の目的と基本操作、分析方法について講義を行い自部署のデータ分析の事前課題をもとにグループワークを行った。研修6 ヶ月後の参加者27 名を対象に、データの活用状況と知識の習得度についてアンケート調査を実施した。対象者には依頼文を用いてアンケートの主旨と内容について説明し、調査には、Web アンケートシステムを用いた。倫理的配慮は、A 病院の倫理審査委員会の承認を得て実施し、対象者自身でWeb の操作を行い、質問項目に回答し、回答データを送信することで同意の取得とした。得たデータは単純集計を行い、傾向を分析し評価を行った。【結果・成果】回答者21 名(回収率78%)。「データ活用の目的」や「基本操作」、「院内比較の方法」は100%、「院外比較の方法」85.7%、「院内比較データの分析」90.5%が理解できたと回答していた。このことから、事前課題と講義によってデータ活用の経験のない副師長にも研修内容が理解しやすかったと考える。また「研修前からデータを活用していた」が42.9%であったが、研修後、「今後はデータを活用したい」71.4%と高い結果となっていた。活用したいデータとして「転倒・転落」「医療安全」に関するデータや、「看護職・ケア」「労働状況:時間外労働時間」など管理業務に関するデータと回答していた。グループワークにより他部署の抽出データや分析過程を具体的に知ることができたことで自部署の現状分析にも活用できることを認識し、活用への動機づけに繋がったと考える。しかし研修後、実際にデータを活用した割合は14.3%と低いことも明らかになっており、部署の現状分析に取り組みやすいようデータ活用の具体例を示すことやデータ分析のスキルアップができる研修が必要である。【今後への示唆】今回の研修により、データ活用の目的や分析方法について理解を深め、データ活用への動機づけになった。今後はデータ活用の実践に繋がる研修について検討する必要がある。

DiNQL 関連演題の抄録については、商標登録 は省略しています。