第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演17群 住み慣れた地域に戻ることへの支援

Sat. Sep 30, 2023 10:30 AM - 11:30 AM 口演会場2 第7会場 (1004+1005)

座長:小野 五月

[口演O-17-5] 退院支援カンファレンスに有用な情報テンプレートの効果

左川 千尋, 渡邉 智美, 青木 巧美 (大和高田市立病院)

Keywords:退院支援、退院支援カンファレンス、テンプレート

【目的】内科病棟看護師に退院支援の課題を調査し、結果を基にテンプレートを作成・活用し、知識や経験に左右されない退院支援カンファレンスが実施できたかを評価する。【方法】A 病院内科病棟の看護師28 名を対象に1 回目アンケートを実施。退院支援の課題をふまえたテンプレートを作成、使用後に2 回目アンケートを実施。単純集計、ウィルコクソンの符号順位検定、マクネマー検定を使用した。対象者へは、守秘義務の遵守、要求があれば情報の公表、発表時には特定される情報公開はせずデータは施錠を行い、研究終了時に全データ消去を行う事を説明しアンケートの回収で同意を得た事とした。【結果】1 回目アンケートでは退院支援に苦手意識がある人は8 割以上で、要因は「退院支援の開始時期が分からない」「知識不足」であった。1 ~ 3 年目看護師は「退院支援を進める時期が分からない」「どの情報が必要かわからない」の記載があった。従来の退院支援カンファレンスは有効でないという意見が約45%で「必要な情報が不足」「時間確保が困難」「少人数での実施」という意見があった。2 回目アンケートでは苦手意識や要因は変わりなかったが、意識して確認している情報は全項目選択人数が増加した。90%以上がテンプレートを使用した退院支援カンファレンスは有効になったと回答し「情報が整理され次に繋げられる」「自己で気づかない点や退院支援を進める時期を相談できる」「やる事が明確で若い看護師も取り組みやすい」「担当患者以外の状況が分かる」という内容であった。【考察】退院支援の課題は1. 必要な情報の不足2. 知識不足3. カンファレンス時間の確保困難ということが分かった。意識していなかった項目はテンプレートに追加した事で情報収集するようになり、担当患者以外の退院支援でも意識出来るようになった。カンファレンスが他者の意見を聞く機会となり、継続する事で知識の習得や患者家族の希望に沿った退院支援が行えると考えた。またテンプレートは他部署との連携にも効果的である事が分かった。そのことから「退院支援に必要な情報の明確化」「他者の意見を聞く事ができ個人の能力差が揃えられる」「退院支援の知識の習得」「他部署との連携にも役立つ」といった効果が得られた。退院支援の苦手意識に変化はなかったが、退院支援カンファレンスに対する看護師の意識は高まりテンプレートは有効であると考える。