第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演18群 家族看護

Sat. Sep 30, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 口演会場2 第7会場 (1004+1005)

座長:加藤 久代

[口演O-18-4] 新型コロナウイルス感染拡大により面会制限を受けた終末期がん患者の家族の経験

天日 更織1, 牧野 智恵2, 松本 智里2, 瀧澤 理穂2 (1.金沢市立病院, 2.石川県立看護大学)

Keywords:新型コロナウイルス、面会制限、終末期がん患者の家族

【目的】新型コロナウイルスの感染拡大後、緩和ケア病棟の縮小や面会制限によって、終末期がん患者家族は、患者に直接会うことや残された時間を共有することは難しくなった。そこで、面会制限下での終末期がん看護に必要な支援を考えるために、コロナ禍において面会制限を受けた終末期がん患者家族が、最期の時間をどのような思いを抱え過ごしていたかを明らかにすることを目的とした。【方法】コロナ禍で面会制限を受け、且つ終末期がん患者を亡くした家族6 名に半構造化インタビューを行った。対象者の語りから、面会制限中の家族の思いについて語られた部分を抽出して、コード化した。類似性、差異性を検討しサブカテゴリー化、カテゴリー化した。研究対象者には、研究の主旨・方法・倫理的配慮、研究参加の自由意思等について書面及び口頭で説明し、同意を得た。【結果】家族は、面会制限中に〈患者の洗濯物を見てイメージがつかず受けているケアや治療に疑念を抱く〉や〈看護師とコミュニケーションがとれず患者のことを分かってもらえているのか心配〉といった〔患者に行われているケアや治療、医療者に疑念や不信を抱く〕思いがあった。また、患者がどんどん衰えていく様子を目にすることが出来ず、〈入院前の患者の過去のイメージが強く、患者がまだ亡くならないと思っていた〉や〈患者の衰弱していく様子を見れていないので、元気に戻ってくる、家に帰って来ると信じていた〉と〔患者の死が迫っていることが想像できず、大丈夫だと思っていた〕。何らかの形で面会が出来た時には〔患者の状態変化に驚く〕等の経験をした。患者を亡くしたあと〈今まで、言えなかった想いを言いたかった〉等と当時の思いを振り返り〔終末期に患者に何もしてあげられなかったことを後悔〕していた。家族は、病院に行けなくても患者と何らかの方法で繋がりを持ちたい思いを抱き〔間接的にでも患者のことを感じたかった〕と医療者に要望した。【考察】コロナ禍の面会制限によって、家族は患者に寄り添うことが出来ず患者をより心配する思いを募らせた。更に、看護師と家族の信頼関係が築けていないことは、家族の怒りや医療者に対する疑念や不信を抱く要因となっていたと思われる。看護師は、面会出来ない家族へ患者の状態について丁寧且つ分かりやすい情報提供を行い、自宅からリモートを使ったコミュニケーションツールの充実化等を図ることが必要と示唆された。