第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

口演

口演19群 安全安楽への支援

2023年9月30日(土) 09:00 〜 10:00 口演会場3 第8会場 (1006+1007)

座長:山勢 博彰

[口演O-19-6] 腹腔鏡手術の頭低位による術後の苦痛緩和の軽減を検討

―手術室スタッフが頭低位を疑似体験して見えたこと―

西嶋 良美1, 赤井 由紀子2, 兼田 多恵子1, 繁田 武将1, 蒲生 泰三1 (1.山口県済生会豊浦病院, 2.大阪教育大学)

キーワード:頭低位、体圧分布、クッション材

【目的】A 病院手術室スタッフが疑似体験を通じて、実際に体圧がどの部位にかかるかを知り、体位固定を改善できる所を検証し、患者の手術侵襲以外の苦痛を減らす。【方法】1)対象:手術室スタッフ5 名 2) 方法:体圧分布センサーSR ソフトビジョン:半身版(以降体圧分布センサー)で、即時従来方法と同様に載石位からの頭低位、肩固定具、保護用具(以降クッション材)を変更して体圧測定を行う。クッション材は3 種類、白は5 センチ厚さのオルソラップをストッキネットで巻く、黒は2 センチ厚さのスポンジ材、緑色はポジショニングサポートクッション瞬割を使用。頭低位角度は、意識下であり安全で恐怖心が少ない20 度にし、1 人15 分程度とする。体圧分布センサーで両肩の検知面積、面圧値の最大値、平均値を測定し疼痛、圧迫感など主観的意見を構成面接法で聴取する。3) 分析SPSS StatisticsVer27 を用いて一元配置分散分析を行った。4) 倫理的配慮:研究は、教育倫理委員会の承認を得て、対象スタッフへ研究目的、個人情報保護、不利益が生じないことを説明し同意を得た。【結果】3 種類のクッション材は体圧(P=0.320)、面積(P=0.928)ともに有意な差は認められなかったが、緑色クッション材は42.6mmHg と圧が最も低く、体圧がかかる面積は53.4 平方センチメートルと広かった。体格差はあるが体感の意見に大きな違いは無く、疼痛を感じた順は縦向きに入れた白色、黒色とも同数で、緑色は縦向きで圧迫感が強く、横向きは痛みや圧迫感が少なく楽に感じた。両肩の圧平均値で左右差はみられたが、体感は痛みや苦痛を伴ってないと2 名の意見が聞かれた。分布図の肩下部分は白く表示され、両肩もしくは片方が密着していない状態だったが、白い部分が多くなっても、浮いているという自覚はスタッフ全員感じていなかった。【考察】手術患者のポジショニングは「術野が清潔なまま静止した状態を保つ」ことが原則と言われ、そのために手術台の上で体位固定具を用い不自然な体位を長時間保つ必要があり、患者は非生理的な「不動の姿勢」を強要されることになる。従来は厚さ、固定具の支持面と同様の大きさ、汚れても交換が容易な理由で白色を選択していた。疑似体験を通しクッション素材への示唆を得ることができたので、今後、活用していきたい。