第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

口演

口演2群 看護管理(施設運営)

2023年9月29日(金) 13:15 〜 14:15 口演会場1 第6会場 (1008)

座長:菊地 千夏

[口演O-2-1] 各診療科から検査室へ移動する患者・家族の実態調査

―案内表示や案内図の活用状況から―

米元 郁, 岩佐 千穂美, 中村 恵里子, 大曲 幸枝, 前田 紹美, 構 由紀子 (佐世保共済病院)

キーワード:案内表示、案内図、外来

【目的】A 病院の各診療科・検査室は1 階から3 階に分かれている。2 階には主な検査室が集約され、目印として床にラインがあるが、検査室へ移動する順路は複雑で、立ち止まり検査室を探す患者の姿を見かける。看護師への聞き取りでも、検査室への移動中に何らかの支援(誰かに尋ねたり職員から声をかけられること)をしていることがわかった。そこで既存の案内表示や案内図の活用状況を患者・看護師に調査し、活用の実態を明らかにする。【方法】調査期間は、看護師 令和4 年7 月25 日~ 8 月5 日、患者 令和4 年8 月1 日~ 8 月12 日。対象は1 階から3 階の案内図を持ち検査を受けた患者とその家族、外来看護師。患者へ独自に作成した質問紙で属性、移動中の支援の有無、案内表示・案内図に関する11項目を聞き取り、看護師は案内図の活用と検査室説明に関する6 項目を調査した。患者を支援あり群・なし群の2 群に分け属性、聞き取り項目との関連をカイ二乗検定し、有意水準p < 0.05 とした。対象者へ研究の目的、参加は自由意志で、参加の有無による不利益を被らない事を口頭及び紙面にて説明し同意を得た。【結果】有効回答117 名(支援あり群32 名、支援なし群85 名)、平均年齢60.3 歳(SD16.9)。支援あり群・なし群と属性との関連に有意差はなかった。支援あり群に限らず、なし群の患者や看護師からも案内表示について「3 階から2 階へ降りた地点に床のラインがない」と意見があり、床のラインを目印に移動できた患者は2階フロアでは41%、3 階フロアでは12%であった。「生理検査室という言葉がわかりにくい」「レントゲンと放射線科がわかりにくい」という意見もあり、また中でも3 階フロアから生理検査室、レントゲン室へ移動する時に支援が必要な患者が多かった。案内図活用状況について、支援なし群の患者は3 階58.6%、2 階34.6%、1 階12.5%、看護師は3 階85.7%、1 階44.4%、2 階25.9%であった。案内図に対する意見として実際の表示との相違・見づらさがあった。【考察】A 病院の案内表示、ラインは患者の動線を考慮したものではなく、検査室名が統一されていないため全ての患者が活用できるものではない。どのフロアからでも患者にとってわかりやすく、看護師にとっても説明しやすい案内表示・ライン・案内図へ改善が必要であることが示唆された。