第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演2群 看護管理(施設運営)

Fri. Sep 29, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 口演会場1 第6会場 (1008)

座長:菊地 千夏

[口演O-2-3] 救命救急入院料・看護必要度からみたハイケアユニット入室患者の現状調査

―適切な病床管理に向けた考察―

鈴木 英子, 野澤 陽子 (順天堂大学医学部附属静岡病院)

Keywords:救命救急入院料、重症度医療看護必要度、NEWS、HCU

【目的】A 病院の救命救急センターはICU とHCU を有する。中でもHCU の病床稼働率は100% を超え、平均在院日数も5 日前後と入退室の多い病棟である。院内全体の病床稼働率も90% を超え、常に病床調整に難渋している。その一方で、入院時に救命救急入院料を算定できる患者は50% 前後であり、本来のHCU としての機能を十分に発揮できていないのではないかと考えた。そこで、重症度・医療・看護 必要度(以下、必要度)がハイケアユニット用に変更になる前後の算定状況・急変リスク評価を行い、今後の病床管理の一助としたい。【方法】研究デザインは後ろ向き研究である。HCU に緊急入院した患者を対象に、必要度の評価基準がハイケアユニット用に変更になった前後での救命救急入院料算定割合・必要度点数・NEWS(急性疾患予後予測スコア)による急変リスク評価を行った。患者データは個人情報を含まないデータとし個人情報の取扱いに配慮した。またA 病院看護部倫理審査委員会の承認を得て行った。【結果】変更前後の患者の診療科の違いはなかった。変更後の患者に焦点を当てると、救命救急入院料・必要度ともに対象外の患者が50% 近くいた。救急入院料算定と必要度の要件で比較すると、必要度はB 項目には差がなかったがA 項目には差がみられた。対象外の患者の内、NEWS のスコアで中等度以上の患者は各診療科とも0 ~ 10% であった。対象外の患者の約80% は救急車での搬送であった。【考察】HCU に直接入院する患者は、必要度評価方法の変更によって看護必要度を満たす患者は増加している。その大きな理由はA 項目の項目内容の変化である。一方で、救命救急入院料要件・必要度要件ともに満たさない患者も多く、NEWS による急変リスク評価でも低リスクの患者が大半である。このため、一般病床への入院でも対応できる可能性があり、病院全体の加算や必要度算定に影響を与えるため検討が必要である。しかし、B 項目の高い患者が多いことから、HCU が幅広くオーバートリアージで患者を受け入れることは急変やリスクを防ぐ役割もあり、病床稼働率の高い院内の状況下で許容しなければならない部分もある。患者の状態に合わせた適切な入院病床の選定のためには、医師・看護師が一定の共通認識で患者をアセスメントし病床を選定する必要があり、NEWS はそのアセスメントの一助となる可能性がある。