第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演20群 疾病とともに暮らすことへの支援

Sat. Sep 30, 2023 10:30 AM - 11:30 AM 口演会場3 第8会場 (1006+1007)

座長:雄西 智恵美

[口演O-20-4] 化学放射線療法を受ける高齢食道がん患者に対する在院日数延長の要因と看護介入の検討

河邉 恵理香, 鳥越 有美, 西村 奈津子, 林 裕子 (広島大学病院)

Keywords:高齢者、化学放射線療法、在院日数、看護

【目的】化学放射線療法を受ける高齢食道がん患者に対する在院日数が延長した要因を明らかにし高齢食道がん患者の看護介入について検討する。【方法】2017 年9 月1 日~ 2020年5 月30 日にA 病棟に入院した化学放射線療法を受ける65歳以上の食道がん患者43 名を前方視的に解析した。診療録から対象者の年齢、性別、疾患名、ステージ分類、照射線量、化学療法の種類、G8 スコア、居住状態、入院時のADL、退院時のBMI、入院時と退院時のALB 値とその差、有害事象(食道炎、皮膚炎)、10Gy ごとの疼痛スケール(5 段階VDS)、経管栄養の有無について収集した。分析方法は予定通り退院した(非延期群)=0、退院延期した(延期群)=1 として目的変数を設定し集計した各項目と二項ロジスティック回帰分析を行った。倫理的配慮はデータを統計処理後個人が特定されないようコード化し研究終了後はデータを消去する。【結果】年齢中央値は73 歳(範囲65-84 歳)であった。放射線療法の総線量中央値は60Gy(範囲50-66Gy)で化学療法同時併用した。非延期群21 名、延期群13 名であり延期群の治療終了後の平均在院日数は12.3 日であった。有意差が認められたのは20Gy、30Gy、40Gy、60Gy の疼痛と50Gy の皮膚炎、経管栄養の有無であった。10Gy 時点で疼痛を自覚する患者は全体の2.9% であり20Gy より32.1% へと急増していた。【考察】在院日数を延長する要因は食道炎や皮膚炎に伴う疼痛が増悪していること、経口摂取が困難となり経管栄養を導入したことであった。20Gy より疼痛の自覚が急増していたことから20Gy から疼痛コントロールを含めた看護介入が重要と考える。また、皮膚炎は50Gy でのみ有意差あり、治療後半に皮膚炎の増強に伴う疼痛の自覚を示していることから増悪予防として早期から軟膏処置等の看護介入が必要と考えた。高齢者は難聴や記銘力の低下などの加齢現象により疼痛の評価が困難となる場合も考えられるため、高齢者に合った個別性のある疼痛評価方法を検討し表出しやすい環境作りが必要である。また、食道炎による疼痛が増悪すると経口摂取が困難となり経管栄養へ移行するケースも見られている。高齢食道がん患者において疼痛や経管栄養に関する看護介入を早期から行うことで、化学放射線治療完遂時に退院に繋がる可能性があると考える。