第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演21群 質の高い看護人材を育成する教育①

Sat. Sep 30, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 口演会場3 第8会場 (1006+1007)

座長:谷川 幸弘

[口演O-21-1] 病棟から手術室へ配置転換となった看護師の指導と支援についての検討

森永 和枝, 松岡 順子, 田中 淳一 (広島県立障害者リハビリテーションセンター)

Keywords:手術室看護師、目標設定、手術室看護師の「臨床実践能力の習熟度段階」、クリニカルラダーⓇ

【目的】病棟から手術室へ配置転換となった看護師の指導と支援の確立に向けて、これまでに配置転換で手術室に勤務した看護師の心理的状況、適応過程及び指導の問題点などを明確にする。【方法】1. 対象者:病棟から手術室に配置転換となり手術室に勤務した看護師14 名 2. 調査期間:2020 年8 月~ 2021 年1 月 3. データ収集方法:質問紙法 4. 質問紙内容:対象者の属性、配属となった時の心理状態や勤務中に抱いた困難や今後必要な支援の方法等選択式回答と自由記述式回答の組み合わせ 5. 分析方法:選択式は単純集計自由記述式はベレルソンの内容分析の手法を用い、カテゴリーに分類した。6. 倫理的配慮:調査は倫理委員会の承認を得たのちに実施した。【結果】病棟から手術室への配置転換となった看護師の93% が配属前から不安やストレスを感じていた。配属後1 ~2 ヵ月後、対象者の57% は挫折感があったと回答した。指導方法について対象者の64% はマニュアルがなかったと回答し、36% は教え方にばらつきがあった、フィードバックがなかった、29% は目標設定がされていなかったと回答した。病棟から配置転換となった看護師が、業務に適応しやすくするための指導として何が必要であるかという質問には[評価基準・達成目標の設定と評価][サポート体制の構築・整備]が26.1% で最も多かった。モチベーション維持のための精神的サポートとして求められることは[サポート体制の構築・整備]が29.1% で最も多く、次いで[充実感や達成感をもてるようにする]が25% であった。【考察】A 病院の調査結果から、手術室での指導方法についての問題点として1. 指導におけるマニュアルがなく、教え方にばらつきがあった2. フィードバックがなかったことなどが挙げられ、指導における指標や目標設定と評価が必要であったことが明確となった。手術室看護師の「臨床実践能力の収習熟度段階」クリニカルラダーの活用のみならず、その実践能力を評価していくことで、自己研鑽やモチベーションの維持・向上にもつながる支援になると考える。今後は、手術室に配置転換となった看護師が業務に適応していく過程において、1. マニュアル等を整備し、指導方法を統一する2. クリニカルラダーを適切に運用し、指標に沿った指導や実践能力の評価を行い、それらをフィードバックしていくことが重要である。