第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演21群 質の高い看護人材を育成する教育①

Sat. Sep 30, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 口演会場3 第8会場 (1006+1007)

座長:谷川 幸弘

[口演O-21-4] 特別養護老人ホームで働く看護職員の人材育成と課題

―看護師の施設長への質問紙調査から―

アリヤ 聖子, 林 晴美, 林 裕栄, 市原 かつ江, 鷲尾 かおる, 翠川 正美, 長谷部 朋子, 栁澤 大恵, 飯島 若子 (埼玉県看護協会看護師職能2 委員会)

Keywords:特養、看護職員、人材育成

【目的】特別養護老人ホーム(以下、特養)は高齢者施設の中では最大の入居者数であり、唯一の医療職として看護職員の役割は大きく、施設の管理においてはさらに期待されると考える。そこで、本研究では、特養の看護師の施設長が考える看護職員の人材育成や課題を明らかし、今後の育成に向けての基礎資料とする。【方法】首都圏内の施設長7 名を対象に、独自に作成した質問紙調査を実施。質問数は全29 項目で、主な内容は、基本属性、研修の実施状況、看護職員に求められる能力、意欲向上の取り組み(自由記述)等であり、量的データは、各項目の単純集計を分析した。調査期間は、令和4 年5 月~ 7 月。研究目的や研究方法、倫理的配慮を文書で説明し、質問紙の回収をもって了解を得たとした。所属機関の承認(21069)を得た。【結果】看護職員の年齢は、30 代5 件、40 代19 件、50 代15 件、60 代14 件。現施設での経験年数は、1 年未満10 件、1 ~ 5 年20 件、6 ~ 10 年9 件、11 ~ 15 年12 件、16 年以上2 件。前職場の機能は、病院34 件、診療所11 件、老人保健施設4 件、特養4 件。研修方法は、看護協会の研修2 件、職場内指導6 件、部署単位の勉強会4 件、プリセプター3 件、外部講師招聘4 件、外部研修7 件、法人全体研修6 件(重複回答)。研修内容は、テーマ別専門研修6 件、感染管理5 件、接遇・コミュニケーション各4 件。全ての施設で施設内の研修は、他職種間の理解を深めることを目的に、対象を全職種としていた。しかし看護職員対象の専門研修は行っていなかった。看護職員に求める能力は、実践能力・コミュニケ―ション能力各7 件、教育指導能力6 件(重複回答)。【考察】特養の看護職員の年齢は40 代から60 代が多く、若手はいない。また、病院や診療所勤務後に特養に転職するためキャリアは長いが、特養経験が短かった。施設長は、看護職員には看護実践やコミュニケーション、教育指導能力等の高度は能力を求めているが、一方で、施設内の研修は全職員対象であり、看護職員対象の専門研修や能力向上に向けた教育の機会は乏しい現状にある。特養の看護職員が求められる能力を発揮するためには、特養の看護職員の特色を踏まえた人材育成の体制作りが必要である。