第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

口演

口演22群 質の高い看護人材を育成する教育②

2023年9月30日(土) 09:00 〜 10:00 口演会場4 第9会場 (1202)

座長:佐久間 博子

[口演O-22-5] がん患者へのコミュニケーションスキル向上をめざしてNURSE に視覚的学習を取り入れた学習効果

髙橋 慶子, 吉村 恭子, 轟木 恵美, 下村 桂子, 尾潟 和江 (山口県済生会下関総合病院)

キーワード:がん看護、コミュニケーションスキル、NURSE、視覚的学習

【目的】A 病棟は急性期治療から終末期のがん看護が主となっている。しかし、化学療法や検査の介助などが優先し、がん患者に十分関われない現状があった。そこで、感情探索の技法であるNURSE に視覚的学習を取り入れた学習を実践し、その効果を検証したので報告する。【方法】対象:研究に同意を得られた看護師16 名。調査方法:1)質問紙を2 種類作成した。コミュニケーションスキル測定には、荒添らが作成した看護場面における人間関係をつくるためのコミュニケーション尺度(39 項目8 因子)を使用し、5 段階評定尺度(5=いつもやっている~ 1 =やったことがない)で評価した。困難感は、小野寺らが作成した看護師のがん看護に関する困難感尺度を参考に、6 因子のうち、コミュニケーションと自らの知識・技術に関する2 因子22 項目の質問紙を作成し、6段階評定尺度(6 点=非常にそう思う~ 1 点=全くそう思わない)で評価した。2)勉強会・ロールプレイ学習・視聴覚教材(模範動画を作成)による学習プログラムを研究者で作成した。3)勉強会前に質問紙を実施した(以後、介入前)4)NURSE を用いたコミュニケーションスキル、がん性疼痛と医療用麻薬の基礎知識、大腸がん術前放射線治療の意思決定支援について勉強会を実施した。5)臨床場面を再現した2 場面のロールプレイを実施し、動画撮影した。6)自身の動画と模範動画を視聴してもらった後に、同じ場面で2 回目ロールプレイを実施した。7)質問紙を実施した。(以後、介入後)3.分析方法 1)質問紙2 種類の介入前後の結果はウィルコクソンの符号順位和検定を用いて分析した。倫理的配慮:所属施設看護部倫理委員会の承認を得て、対象者の研究による不利益が生じないことを説明し書面で同意を得た。【結果】介入後、全ての項目でコミュニケーションスキルが上昇し、14 項目で有意に高くなった。また、9 項目で有意に困難感が低下した。【考察】ロールプレイでの体験学習により、勉強会で学んだ知識や技術の実践、さらに自身が実施したロールプレイ動画と模範動画を両方学習することで、自己のコミュニケーションスキルに不足しているところに気づくことができたと考える。NURSE を用いたコミュニケーションスキル学習に動画を取り入れた学習プログラムは、看護師のがん患者に対する困難感を軽減でき、コミュニケーションスキルの向上に繋がった。