第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演23群 質の高い看護人材を育成する教育③

Sat. Sep 30, 2023 10:30 AM - 11:30 AM 口演会場4 第9会場 (1202)

座長:西田 頼子

[口演O-23-1] 手術室看護師の術中急変時対応能力向上を目指した学習会の効果

藤本 成美, 丸岡 聖路 (山口県済生会下関総合病院)

Keywords:術中急変、シミュレーション、手術室看護師

【目的】A 病院手術室は、手術室経験年数5 年以下が大半を占め、術中急変を経験した看護師が少ない。そこで、急変時の学習会とシミュレーション(以下、介入)を行い、学習効果の検討と急変時対応能力の向上を図ることを目的とした。【方法】期間:令和3 年10 月~令和4 年7 月。対象:A 病院手術室看護師13 名。方法:1. 独自に急変時対応能力に関するアンケート調査用紙を作成し実施した(以下、前アンケート)。内容は、優先順位・アセスメント等の計11 項目で、回答は二者択一、アセスメントのみ5 段階評定尺度(よくできる:5 点~ほとんどできない:1 点)とし、各項目に自由記載欄を設け単純集計した。2. 手術看護認定看護師より学習会を1 回30 分で2 回実施した。3. 独自にシナリオを作成し、1グループ3 ~ 4 名でシミュレーションを実施した。評価は、独自に作成したルーブリック評価表(以下、評価表)を用いた。内容は、態度・アセスメント等の計13 項目で4 段階評価(よくできる:3 点~できない:0 点)とした。5. 評価結果を元にデブリーフィングを実施し、その後すぐに3 と同様のシミュレーションと評価を実施した。6. アンケート調査を実施した(以下、後アンケート)。前アンケートから術中急変の経験を除外した計10 項目とし、回答は前アンケートと同様とした。分析方法:アンケート比較はⅩ二乗検定、評価表はウィルコクソン符号順位和検定を用いた。倫理的配慮:所属施設の看護部倫理委員会の承認を得て、対象者に方法・目的等について説明し書面と回答をもって同意を得た。【結果】アンケート比較では、行動(判断・積極性)の項目で有意(p < 0.05)に上昇した。自由記載意見で、介入前には「行動できる自信がない」、介入後は「知識を習得できた」という意見があった。評価表では、介入後12 項目で得点が上昇したが、有意差はなかった。【考察】介入後の意見から、学習会・シミュレーションの実施により、急変に特化したフィジカルアセスメントの項目や対応・手順に対する知識が獲得できた。急変時の判断に対する知識獲得が自信に繋がり、対応能力の向上に効果的であることが示唆された。更に、評価表を用いたことで、迅速かつ公平な評価をフィードバックできた。デブリーフィングでは他者の経験や知識の習得から断片的で繋がらなかった知識・技術が整理され、急変時対応能力の向上に有用であったと考える。