第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演3群 看護職間・他職種との協働

Fri. Sep 29, 2023 3:00 PM - 4:00 PM 口演会場1 第6会場 (1008)

座長:花井 理紗

[口演O-3-2] 急性期病院におけるEPA 介護福祉士候補者育成のための具体的な方策と既存スタッフとの協働(1 報)

山田 裕子, 船渡 祥子, 伊藤 みのり (一宮西病院)

Keywords:EPA 介護福祉士候補者、看護補助者、言葉の壁、協働

【目的】EPA(Economic Partnership Agreement)介護福祉士候補者(以下候補者)受入れに対する意識を調査し既存スタッフと協働できる環境に必要な課題を明らかにする。【方法】1. 対象者:病棟看護要員304 名、指導を担う看護補助者(以下指導者)17 名、候補者20 名2. 期間:2022 年4 月~ 2023 年1 月3. 調査方法:候補者入職前と入職後2 ヶ月にWeb による無記名自記式質問紙調査4. 調査内容:候補者受入れに対する思い5. 分析方法:基本属性は単純計算し自由記述は帰納的にカテゴリー化する6. 倫理的配慮:A 病院倫理審査委員会による承認と研究協力者に文書で説明し同意を得た。【結果】候補者入職前の看護要員を対象としたアンケート結果では、受入れ賛成が62%、反対が33%であり反対の理由には「言葉の問題」「EPA とは何か分からない」「不安」などがあった。そこでEPA に基づく候補者とはどのような制度かを知ってもらう研修を師長会と指導者に行い、全看護要員に資料で説明した。それと共に指導者には指導方法の研修を行った。入職後2 か月のアンケート結果では受入れ反対は0%であった。既存スタッフとの間に壁を感じるかの問いに、指導者は「はい」が77%「いいえ」が23%であった。理由は「言葉の壁」「業務多忙の中での指導の困難さ、指導が後回しになる」が挙げられた。候補者は、「はい」が56%「いいえ」が44%であり、理由は「言葉の壁」「次に何をすべきか言ってもらえない」「もっと仕事がしたい」が挙げられた。【考察】初めての候補者受入れは看護要員に漠然とした不安を与えたが、制度について理解を深めたことや実際に候補者と接することで指導者の意識に変化があり、受入れ反対が0%になったと考える。共通して言葉の壁と指導者の指導力不足が挙げられた。言葉の壁は大きな課題であり日本語教育機会の創出が必要である。指導者は多忙で明確に指示を出せないことがあり、候補者が「次に何をすべきか言ってもらえない」と放置状態になる事は十分な指導体制が構築できていないからと考える。指導者には育成に対する意識を高められるような支援が必要である。双方の問題を解決することで、候補者と既存スタッフが働きやすい環境づくりとスタッフ間が協働できる職場づくりが可能になると考える。