第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演4群 看護職の心の働きとその対処①

Fri. Sep 29, 2023 10:15 AM - 11:15 AM 口演会場2 第7会場 (1004+1005)

座長:立野 淳子

[口演O-4-1] A 病院における患者家族ハラスメントとそれに対する看護者の対処行動

藤原 享子, 八並 美紗貴, 塘口 未来, 權田 絢加, 松本 美鼓, 中西 良子 (福岡大学筑紫病院)

Keywords:ハラスメント、患者家族、看護師、対処行動

【目的】A 病院で、看護者は患者家族ハラスメントを経験した際に、嫌な思いをしても同僚間の話で終わり上司へ報告を行っていない場合があった。今後の対策を考えるために対処行動の中でも「報告」に着目した。看護師と看護補助者を対象とし患者家族ハラスメントの実態と看護者の対処行動としての報告に関する実態調査を行う。【方法】対象はA病院勤務の看護師337 名・看護補助者38 名。自記式無記名質問紙票を作成しWeb で回答を求めた。各項目別に単純集計しクロス集計を行い、各群の関連はχ2検定を行い分析した。倫理的配慮はA 病院研究倫理・推進委員会の承認を得た。質問紙票に研究に関する説明を記入し、プライバシー保護のため回答者が特定されないよう設定した。回答は自由意思とし回答をもって研究の同意とみなした。【結果】回答は176 名(回収率46.9%)。ハラスメント別の経験は身体的暴力は看護師79 名(51.6%)看護補助者4 名(20%)、精神的暴力は看護師79 名(51.6%)、看護補助者2 名(10%)性的暴力は看護師60 名(39.2%)看護補助者3 名(15%)。ハラスメント別経験は職種で有意差があり(p<0.05)、年代・性別・研修受講歴は有意差はなかった。患者家族ハラスメントで報告の有無に有意差があった項目は、身体的暴力の「体当たり、物を投げられた」のみであった(p<0.05)。上司に報告しなかった理由は、「大したことではなかった」「患者の疾患特性によるものと思った」などがあった。【考察】患者家族ハラスメントは看護者全体の問題であり、看護者は、医療現場におけるハラスメント研修を受講することでハラスメント防止の対処行動がとれ、さらに受けた行為がハラスメントと認識でき、報告につながると考える。報告の有無に有意差があった項目は、患者に対する恐怖心や患者の元へ行きたくないなどの感情に伴う逃避反応、ストレスを軽減するための防衛機制から報告をする行動に繋がっていると考える。報告しなかった理由より、患者家族ハラスメントに関する認識不足や我慢しなければならないと捉えていると考える。患者家族ハラスメントが個人で対処するものではなく組織として対処していくものという認識を看護者個々が自覚し、報告をすることで相談でき、次の対処行動につなげることが重要である。そのための研修内容の検討、サポート体制の充実が必要である。