第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演6群 看護の質向上のための取組み

Fri. Sep 29, 2023 3:00 PM - 4:00 PM 口演会場2 第7会場 (1004+1005)

座長:大江 理英

[口演O-6-2] 骨折経験のある骨粗鬆症自己注射治療中の高齢患者における治療への認識

日比野 彩, 平桜 雅子, 川端 洋子 (北陸中央病院)

Keywords:骨粗鬆症、高齢患者、治療への認識

【目的】骨折経験のある骨粗鬆症自己注射治療中の高齢患者における治療への認識を明らかにすることを目的とする。その認識を踏まえて治療継続のための指導のあり方を考えることで高齢患者の不足している知識を提供し、治療継続へとつなげる。【方法】研究対象は骨折経験があり、A 病院整形外科外来で骨粗鬆症と診断され自己注射治療を始め、1 年経過した高齢患者である。同意を得られた参加者に半構成的面接にて自己注射への認識や骨粗鬆症への思いなどについて聞き取りを行った。分析は質的に行い、逐語録を作成し、コード化を行い、カテゴリー分類した。本研究は所属施設の倫理委員会での承認後に実施し、対象者に研究の趣旨や方法を書面を用いて説明し、協力への自由参加、個人情報の保護、守秘義務の遵守、不利益を被ることがないことや同意撤回はいつでも行えることを説明し、同意をもらった。【結果】研究参加者は女性9 名であり、平均年齢は75 ± 10 歳であった。面接による生データから17 個のサブカテゴリー6 個のカテゴリーが抽出された。以下、『』はカテゴリー示す。患者は治療費が高くなることや毎日続く自己注射への苦痛から『自己注射継続の大変さ』を抱いていた。その反面、『これ以上骨折したくないという思い』を根底に持ち、『自己注射効果への期待』を持ちながら治療を継続していた。しかし、期待を持ちながらも治療の効果実感ないといった『見えない治療効果からの落胆』も感じていた。これからの治療への思いとしては、『目先の理解で十分』やこれからの治療は医師に任せると『医師への信頼による受け身の治療』の状態が明らかとなった。【考察】本研究高齢患者の自己注射への認識として医師が勧める治療への信頼やこれ以上骨折をしたくないという思いが治療継続への認識として明らかとなり、骨粗鬆症の治療には時間がかかり自己注射期間終了後も何かしら治療継続することの必要性を説明し理解してもらうことで、見えない治療効果からの落胆する思いの軽減が図れるのではないかと考える。中元らの報告にも注射開始時に約6 割の患者が「不安」「高額」と言った思いを持っていることが報告されており、患者の治療への思いや知識の理解度を確認しながら、今後医師から勧められた治療について患者が求める量の情報をその都度提供することが必要なのではないかと考える。