第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演7群 医療安全

Fri. Sep 29, 2023 10:15 AM - 11:15 AM 口演会場3 第8会場 (1006+1007)

座長:志田 京子

[口演O-7-2] 整形外科病棟における転倒転落アセスメントシートの活用の実態

三谷 香織, 岩本 美和, 渡 紗織 (浜脇整形外科病院)

Keywords:整形外科、転倒転落アセスメントシート、看護師の認識

【目的】整形外科に入院する患者は高齢者が多く、治療による荷重制限があり転倒転落リスクが高まる。整形外科病院であるA 病院では全入院患者に対して入院時、ADL 変化時、転倒転落時に転倒転落アセスメントシートを用いて転倒リスクの評価を行っている。しかし、決められた評価時期に転倒転落アセスメントシートが実施できていない時がある。転倒リスクが適切に評価できているか転倒転落アセスメントシートの活用実態を明らかにするために本研究を行うこととした。【方法】1)研究対象:A 病院B 病棟の看護師5 名 2)調査期間:20XX 年9 月 3)調査方法:半構造化インタビュー法 4)調査内容:転倒転落アセスメントシートの活用の現状5)倫理的配慮:個人情報の保護を書面で説明し同意を得た。インタビューは個室で行い、いつでも中断可能であることを説明し実施した。【結果】転倒転落アセスメントシートの活用実態として「使用している理由」は3 カテゴリー『患者の状態把握』『根拠のある看護計画立案』『ルールによる定着化』が抽出された。「使用していない時がある理由」は2 カテゴリー『他のことを優先し忘れる』『必要性の疑問』が抽出された。転倒転落アセスメントシートに対する看護師の認識は3 カテゴリー『転倒転落アセスメントシートによる患者状態の共通理解』『簡素化された項目内容』『看護師の判断による評価の違い』が抽出された。【考察】転倒転落アセスメントシートは転倒リスクの評価だけではなく、患者の状態把握の意味でも活用されていた。ルールを守った使用による定着もある一方で、転倒転落アセスメントシートの優先度の低さや必要性の疑問があることにより活用を忘れてしまい、適切なタイミングでの評価ができていないと考えられる。転倒転落アセスメントシートは簡素化された項目内容により評価が簡便であり、看護師間の共通理解のツールとなっているという認識がある。しかし簡素化された項目内容が評価の曖昧さに繋がり、看護師の経験年数や個人の転倒に対する意識の違いが転倒リスク評価の違いに繋がっていると考えられる。転倒リスクを適切に評価するために、転倒転落アセスメントシートに対する必要性の疑問を解消することで、決められた評価時期に評価することや、経験年数や個人の転倒に対する意識の違いに関わらず評価の差をなくしていくことが今後の課題である。