第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演7群 医療安全

Fri. Sep 29, 2023 10:15 AM - 11:15 AM 口演会場3 第8会場 (1006+1007)

座長:志田 京子

[口演O-7-4] 病棟看護師の手指衛生の5 つのタイミングに関する実態調査

赤井 美智代1, 中村 芳子2 (1.山陽学園大学看護学部看護学科, 2.倉敷第一病院)

Keywords:手指衛生の5 つのタイミング、手指衛生遵守率、直接的ケア、病棟看護師

【目的】病棟看護師の直接的ケアにおける手指衛生の実施状況を明らかにし、今後の感染予防教育の示唆を得る。【方法】1. 対象者 A 病院病棟配属の看護師74 名 2. データ収集期間 2021 年10 ~ 11 月 3. データ収集方法 無記名自記式質問紙調査、病棟の感染対策マニュアルにWHO 手指衛生ガイドライン2009 の項目があるため質問紙の内容は、1)WHO 手指衛生ガイドラインの理解状況、2)ケア場面(注射前後・清拭前後等)における手指衛生の実施状況とした。4. 分析方法 基本属性は単純集計、ケア場面の手指衛生実施状況は、4 段階順序尺度を用いた。手指衛生をしていない理由を自由記載として分析した。5. 倫理的配慮 対象者に研究の目的、本調査は個人を特定するものでないこと等を記載した用紙と質問紙を配布した。所属施設の倫理審査委員会の承認を得た。【結果】質問紙配布数74 名で67 名(回収率90.5%)を分析対象とした。1. 基本属性 対象者の年齢は、20 代32.8%、30 代23.9%、40 代29.9%、50 代以上13.4%であった。感染対策の研修受講歴は、院内48 名(71.6%)、院外2 名(3.0%)、院内と院外2 名(3.0%)、なし14 名(20.9%)、無回答1 名(1.5%)であった。WHO 手指衛生ガイドラインの理解状況は、「とてもわかる」28 名(41.8%)、「だいたいわかる」37 名(55.2%)、「あまりわからない」2 名(3.0%)、「まったくわからない」0 名であった。2. 手指衛生の実施状況 手指衛生の実施率が70%台であったのは、清拭前、吸引前(口腔・鼻腔・気管を含む)であり、他のケア場面は90% 以上であった。「していない」理由の回答は、認識不足、忘れている、急いでいる、業務の流れに沿っていたので疎かになったであった。【考察】1. 基本属性 感染対策の研修受講歴は院内・院外合わせて77.6%、WHO 手指衛生ガイドラインの理解状況は「わかる」と97.0% が回答しており、手指衛生の基本的な知識を有していると考える。一方で、研修受講歴なしと20.9% が回答しており、未受講者への対策が必要である。2. 手指衛生の実施状況清拭前、吸引前で実施率が低い理由として、感染対策の認識不足、ケアの早さを求める傾向から手袋着用による手順の省略が推察された。今後の課題は、行動変容につながる教育の検討が必要と考える。