第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

口演

口演8群 ポストコロナ社会の看護への示唆①

2023年9月29日(金) 13:15 〜 14:15 口演会場3 第8会場 (1006+1007)

座長:原 理加

[口演O-8-3] パンデミック初期から新型コロナウイルス感染症患者の看護に携わる看護師の思い

―患者との関わりから看護行為を振り返って―

阿曽 翔太, 横田 理香, 橋本 香織 (太田綜合病院附属太田西ノ内病院)

キーワード:パンデミック、新型コロナウイルス感染症、感染隔離、看護実践

【目的】新型コロナウイルス感染症拡大当初からの看護実践を振り返り、実践の工夫や意図、困難を明らかにし、今後起こり得る感染症患者の看護実践への示唆を得たいと考えた。【方法】2021 年10 ~ 11 月の期間、新型コロナウイルス感染症流行第1 波(2020 年1 月末~ 5 月末)からA 病院の中~重症の新型コロナウイルス感染症患者の看護に携わった看護師へ、新型コロナウイルス感染症患者と関わる際に工夫したこと、その意図、関わる際の困難について半構成的面接を実施した。その後、語りを研究者間で熟読、対象者の言葉の意味を損ねないように検討を重ね、コード化、サブカテゴリー化、カテゴリー化した。データ分析においては信憑性と妥当性を高めるため質的研究の経験者から指導を受けた。【結果】7名の看護師へインタビューを行い、コード66 個、サブカテゴリー11 個、カテゴリー3 個を抽出した。中~重症の新型コロナウイルス感染症患者との関わりにおいて、看護師らは<感染隔離の中で自覚症状に乏しい(中~重症)患者の対応の困難さ>を感じ、制限があるが故に<今までの看護経験が通用しない惑いとジレンマ>を抱え看護実践をしていた。制限がある中でもできる事を、<看護師としての経験と知識を活かした実践>として患者の看護にあたっていた。【考察】第1波流行期、新型コロナ感染症患者の病態的特徴に、肺炎の重症化が見られるが患者にはその自覚がないなど、通常の呼吸器疾患には見られない自覚症状と臨床所見の乖離がみられた。その為、看護師は患者の経過が予測できず、患者に何が最善か分からない中、感染隔離下で看護実践することに≪感染隔離の中で自覚症状に乏しい(中~重症)患者の対応の困難さ≫を感じていた。看護実践においては、感染対策上のマニュアルがあり、通常とは異なる手順で看護実践しなければいけないことが、≪今までの看護経験が通用しない惑いとジレンマ≫に繋がったのではないかと推測される。その様な中でも、パンデミック初期から新型コロナウイルス感染症患者の看護に携わっていた看護師らは、感染対策をし患者に触れ、五感を用いた観察から、患者の状態を身体的・精神的側面からアセスメントし必要な援助を≪看護師としての経験と知識を活かした実践≫として行っていた。これらは、平時では気づけなかった「患者に触れる」といった自らの看護行為を考える機会になっていたことが示唆された。