第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演8群 ポストコロナ社会の看護への示唆①

Fri. Sep 29, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 口演会場3 第8会場 (1006+1007)

座長:原 理加

[口演O-8-4] コロナ禍で勤務する看護職への精油による心身のストレス反応の変化(第一報)

佐藤 麻矢, 鈴木 絵里子, 国分 美樹, 石井 静 (太田綜合病院附属太田西ノ内病院)

Keywords:コロナ禍、看護師、精油 ストレス

【目的】コロナ禍で勤務する看護職に対して、就寝前のリラクゼーションとして精油を使用した芳香浴を実施し、精油使用前後のストレス変化を比較することでストレスマネジメントに対する示唆を得る。【方法】太田西ノ内病院生命倫理委員会の承認のもと、厚生労働省版57 項目の職業性ストレス簡易調査票(以後簡易調査票とする)と精油使用前後の自記式調査票を用いた横断研究を行った。簡易調査票では今回はストレス反応に関する29 項目に着目して分析した。ストレス反応には心理的・身体的ストレス反応が含まれ、その尺度は[活気][イライラ感][疲労感][不安][抑うつ感][身体愁訴]の6 つである。研究協力者には1 週間就寝前に芳香浴を実施し、使用前後で簡易調査票と自記式調査票の記載を依頼した。分析は、全体と日勤のみ、夜勤ありに分けた勤務形態に焦点をあてた。対象はA 病院の全看護職とした。Excel にてt 検定を実施した。【結果】簡易調査票の回収数(有効回答率)は、使用前128 部(90.8%)、使用後108部(78.3%)であった。分析対象は、勤務形態別では「日勤のみ」が約30%、「夜勤あり」が約70% であった。経験年数は1年から47 年、平均年数は約14 年、勤務場所は約70% が病棟であった。簡易調査票の精油使用後の平均点は使用前と比較して、[活気]の尺度では「全体」と「夜勤あり」で、それ以外の尺度と勤務形態においては、全ての項目でストレスの改善を示していた。有意水準をみると[抑うつ]の尺度では「全体」で、[不安]の尺度では「夜勤あり」で差が見られた。また、自記式調査票の自由記載部分では77.8% 回答があり、そのうち約80% は「よく眠れた」「リラックスできた」「癒やされた」「気持ちが落ち着いた」等の感想が聞かれた。【考察】ストレス反応において簡易調査票の精油使用前後を比較すると、精油を使用した芳香浴がストレス反応に改善効果を持つことが示唆された。また、自記式調査票の回答率や内容からは、精油への関心や興味が高いことが示された。看護職のストレスマネジメントは「働き続けられる職場づくり」において重要な要素であり、今後長期間継続した使用や対象者数の拡大により、精油のリラクゼーション効果をさらに検証することが必要と示唆された。さらなる研究を通じて、ストレスフルな状況下での精油の利用が有効であるかを検討することが求められる。