第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演9群 ポストコロナ社会の看護への示唆②

Fri. Sep 29, 2023 3:00 PM - 4:00 PM 口演会場3 第8会場 (1006+1007)

座長:須東 光江

[口演O-9-5] コロナ禍の急性期病棟における面会制限がきたす高齢患者の心情

竹仲 華菜美, 松中 洋子, 原田 由美, 齋賀 恵美子, 生林 裕子 (山陰労災病院)

Keywords:新型コロナウイルス感染症、面会制限、高齢患者、心情

【目的】連絡手段のない高齢患者は家族との交流が絶たれることでネガティブな感情を抱き闘病意欲の低下につながるのではないかと考えた。そこでまず面会制限中の高齢患者の心情を明らかにした。【方法】対象は認知症高齢者日常生活自立度I、II またはランク外のいずれかに該当し65 歳以上、自宅から入院した患者とした。倫理審査委員会の承認を得て独自のインタビューガイドを用いて半構造化技法でインタビューを行った。プライバシーに配慮し個室で行った。逐語録から内容をコード化し、類似するものをカテゴリー化した。【結果】対象患者15 名(男性10 名女性5名)、年齢76 ± 6 歳、インタビュー実施までの期間は17 ± 7 日だった。携帯電話を持っている患者は13 名、持っていない患者は2 名だった。カテゴリーは14 個でそのうちマイナスな心情を表すのは〈携帯電話では表情が分からないもどかしさ〉〈連絡手段があっても家族と直接会えない寂しさ〉〈家族との連絡手段がなく全く話せなくなったつらさ〉〈近くにいるのにオンライン面会では直接会えないもどかしさ〉〈オンライン面会の説明が不十分だった〉〈面会者への気遣いをしなくてよかった〉〈コロナ流行前の患者同士の友情を回顧〉〈看護師に話を聞いてほしい〉〈面会制限への諦めと受容〉と9 カテゴリーあった。【考察】面会制限中、携帯電話での連絡で声を聞くことで家族とつながる安心感を得ている患者がいる一方で家族の様子を視覚的に捉えられずもどかしさを感じる患者もおり、携帯電話利用への思いには個人差があった。家族との連絡手段がない患者は、不安の訴えがあった。コロナ流行前は手術前に面会ができたが、それもできず不安やストレスを抱えていた可能性がある。オンライン面会について「家族の表情が分かるためよかった」とコードがあり、携帯電話での連絡とは違った良さを感じていると考える。その反面「近くにいるのに直接会えないもどかしさ」や「機器操作に困り家族の顔が見えなかった」とあり、直接面会と異なりモニター越しといった特殊な環境であるため満足な会話ができていない可能性もある。また「面会者に気を遣わなくてよかった」とあり、患者により面会自体に精神的負担を感じていると考える。連絡や面会方法の好みは個人差があるため患者の意向に沿いその方法を見つけ、患者が孤独感を感じないよう家族との関係を取り持つ関わりをすることが重要である。