第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

Presentation information

ポスター

ポスター1 群 ワークエンゲージメントを高める

Fri. Sep 29, 2023 10:15 AM - 11:15 AM ポスター会場 (イベントホール)

座長:高木 仁美

[ポスターO-1-1] ポジティブな言葉がもたらす看護師の疲労感や自己効力感への効果の検討

稲村 尚子1, 小川 知也2, 佐々木 奈緒美2, 浜田 清美2, 細見 由加里2, 塚原 節子3 (1.富山県立大学看護学部看護学科, 2.黒部市民病院, 3.東京医療学院大学保健医療学部看護学科)

Keywords:疲労感、看護師、自己効力感、言葉

【目的】ポジティブな言葉がもたらす看護師の疲労感や自己効力感への効果を検討する。【方法】研究の趣旨とデータの厳重管理及び参加の自由意思、学会や論文投稿の可能性について説明し同意の得られたA 病院B 病棟に勤務する看護師23 名に対し、「労働者の疲労蓄積度チェックリスト」の自覚症状に関する部分、「特性的自己効力感尺度」、かけられて嬉しい・気持ちが楽になるようなポジティブな言葉を2 つ自由記載で求める項目を含んだ質問紙調査を行った。収集したものと、著書を参考に合わせて20 個になるようポジティブな言葉を研究者が抜粋し、平日朝に言葉の読み合わせを行い掲示した。3 か月後、再度同様の内容に継続意思を問う項目を含めた質問紙調査を行いSPSS Statistics26 を用いて分析した。【結果】疲労蓄積度の分類は読み合わせ・掲示導入前後共に3 以上の者の割合が多かったが、特に強いとされる4 の者は導入後で半数に減少していた。また、導入前後で疲労蓄積度・自己効力感に有意な差は認められなかった。しかし、導入前の自己効力感と導入後の疲労蓄積度の合計得点において有意な負の相関関係が認められた。継続意思のあった者は7 割弱であり、理由として「朝から気持ちが前向きになれる」「疲れた時に見ると助けられる」等の前向きな意見が多く見られた。【考察】対象者数が少ない事や期間が短かった事、病棟の環境や看護師自身の様々な要因が結果に影響していると考えられた。しかし、疲労蓄積度は減少・自己効力感は増加傾向にあり、特に疲労蓄積度が強い4 に分類される者は導入後で半数に減少していた事から、ポジティブな言葉の読み合わせや掲示で何等かの効果が働いた事も否定できない。これらについては調査を重ね再検討する必要があると考える。また、7割弱の者に継続意思があり前向きな意見も多く見られたため、ポジティブな言葉を読み合わせた事が自信や不安軽減に繋がり、前向きな気持ちや仕事への意欲の向上に影響を与えた可能性が推察された。さらに、自己効力感の低い者ほど抑うつ傾向にあり疲労感への効果が薄かったと考えられ、自己効力感を高く持つ事で様々な疲労感軽減の取り組みの効果が高くなる事が予測される。普段から前向きな言葉や声掛け、ねぎらいの言葉を口にする等自己効力感が高まるような職場の風土作りを全体で心掛け、疲労感軽減に繋げる事が必要と考えられた。