第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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ポスター

ポスター10 群 患者の意向を尊重し、支える

Sat. Sep 30, 2023 1:15 PM - 2:15 PM ポスター会場 (イベントホール)

座長:高橋 奈智

[ポスターO-10-4] ALS 患者の病名告知後の心理的変化

―外来看護師として支援できることは何か?―

古賀 祐子, 下舞 妹子, 相川 雅美, 福島 さや香, 勝野 久美子 (長崎北病院)

Keywords:外来看護、筋萎縮性側索硬化症、意思決定支援

【目的】A 病院外来では、筋萎縮性側索硬化症(以下ALS)の診療場面や病名告知の場面に外来看護師が同席し、生活相談に応じたり意思決定への支援を行うことが多い。本研究の目的は、病名告知を受けたALS 患者の心理を明らかにし、難病患者の看護支援に役立てることである。【方法】病名告知を受けているALS 患者3 名に面接。インタビューガイドを用い、発症から現在までの過程を振り返り、その時々の思いを語ってもらった。逐語録を作成し、テーマに関わる表現を切片化した。3 事例の切片を合わせ、類似性によりカテゴリー化し見出しを付け、ALS 患者の心理的特徴を分析した。倫理的配慮として、対象者に研究目的・内容を説明し同意を得た。データはコード化し個人が特定されないように配慮した。【結果】3 事例合わせて141 コード、24 サブカテゴリー、7 カテゴリーを抽出した。カテゴリーは、<診断がつかないことへの疑念と症状への不安><家族への申し訳ない気持ちとこれから先の生活の心配><病名告知直後の衝撃と認めたくない気持ち><病気への向き合い方の模索と積極的行動><病気の進行に伴う苦しさと無力感><病気の受容と周囲の人たちへの感謝><予後の受け止めと延命治療への意思>である。ALS 患者は、身体の異常や日常生活動作ができなくなっていることに不安を感じ受診していた。何回検査をしても診断がつかないことに疑念をいだいた。生活動作に家族の助けが必要となると、家族への申し訳ない気持ちや収入面が心配となった。病名告知によりショックを受けるが、ALS に関する情報を探し、人がやって良さそうなことを自分も試みる。症状が進むと心身の苦しさが増し、何をやっても無駄な努力だと感じてしまう。症状が進行し動作が困難となった患者からは、家族・友人・医療スタッフへの感謝の思い、予後については自然にまかせ延命治療は望んでいないことが語られた。【考察】ALS 患者は、告知後ショックを受けながらも前向きに行動を起こすこともあれば、病状への不安・苦痛が強くなり、無力感・あきらめの気持ちに変わることもあった。病気に対するポジティブな気持ちとネガティブな気持ちが交錯しながら病気を受容していく過程が表出されていた。看護師として、病気の経過と共に変化するALS 患者の心理過程を受け止めながら、その時々の思いに沿った援助を行っていく必要がある。