第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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ポスター

ポスター12 群 質の高い看護人材を育成する教育①

Sat. Sep 30, 2023 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (イベントホール)

座長:伴 信義

[ポスターO-12-2] 早期体験型の地域・在宅看護論実習における学生の学び

―初学者が捉えた生活者の特徴―

田中 規子, 田中 妙子, 森田 知早子, 乾 知子 (大阪警察病院看護専門学校)

Keywords:生活者、地域・在宅看護論、早期体験実習、看護学生

【目的】看護の初学者が捉えた生活者の特徴を明らかにし、今後の実習指導への示唆を得る。【方法】入学直後の学生が生活者の理解を深めるためにデイサービスや介護老人保健施設で実施した早期体験実習のレポートを対象に計量テキスト分析を行った。分析にはKH Coder3 を使用した。「生活者」の関連語による共起ネットワークを描画した。多様な意見の探索と実習施設による意見の比較について3 名の共同研究者とともにKWIC コンコーダンスで示された文脈を用いて検討した。本研究はA 病院看護倫理委員会の承認を得た。対象者には研究の目的、方法、参加の有無により不利益を被ることはないこと、匿名性の厳守、データ管理、成果の公表について説明し同意の有無を確認した。【結果】1 年生68 名中63 名から同意が得られた(有効回答率92.6%)。サブグラフ検出によるネットワークは6 つに分類され、<個別性・自立を重視した支援>、安全や自己決定など<現在の環境に求めるもの>、生活の場や充実した生活など< QOL 向上に繋がるもの>、自由や人権など援助者が大切にしている<人間の尊厳>、楽しみなど<生きる活力・意味>、心と体の相互性など<健康への影響>を示していた。媒介中心性によるネットワークでは、デイサービスは主に対象を示す語が多く、中心性は「人」が最も高かった。介護老人保健施設は人的・物的・社会的環境を示す語が多く、中心性は「生活」が最も高かった。【考察】学生は実習を通して生活者とは「個別性」を有し、「自立」「安全」「自己決定」「自由」「楽しみ」「健康」といったニーズを持つ存在であること、これらが実現するような環境を整えQOL 向上に繋げる必要があることなど貴重な学びを得ていた。しかし、対象がこれまでの人生の中で培った価値観や生き方などを捉える視点は不足していた。今を生きる存在であると同時に過去から未来へと経時的に変化する存在として生活者を理解できるような支援が必要である。また、実習施設の機能や対象の自立度により学生が生活者を捉える視点には相違があった。この違いを活かしながら学びを共有し、多様化する生活の場との相互作用を通して生活者の理解を深める必要がある。さらに今回の学びが分断されず全体的な理解となるためには、教員がカリキュラムにおける科目との関連を把握し、ファシリテーターとして支援することが重要である。