第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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ポスター

ポスター12 群 質の高い看護人材を育成する教育①

Sat. Sep 30, 2023 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (イベントホール)

座長:伴 信義

[ポスターO-12-4] 看護系大学における「がん看護」でのハンドケア演習の効果の検討

渋谷 えり子, 平野 裕子 (埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科)

Keywords:看護基礎教育、がん看護、補完・代替療法、ハンドケア

【目的】がん患者への補完代替医療として、看護師が意図的タッチやハンドマッサージを行うことも多い。そこで、看護系大学での「がん看護」8 回の講義の1 回(90 分)を補完代替医療の一つとしてハンドケア演習を実施した。本研究は、この演習の効果を検討することを目的とした。なお、ハンドケアとは、リラクゼーションを目的に、患者の手に実施する「なでる・握る・さする」こととする。【方法】対象は、看護系大学4 年生の選択科目「がん看護」履修者47 名のうち、研究協力に同意の得られた45 名である。方法は、ハンドケア演習後の看護師役・患者役の学びの記述と手技や効果など12 項目の自己評価(4 件法)を研究データとし分析した。なお、所属倫理審査委員会の承認後、対象者に研究内容及び協力しなくても不利益を被ることがない、無記名のデータを扱うことなどを口頭で説明し、同意書の提出期間を設けて同意を得た。【結果】演習内容を理解できた82.2%、時間は適切88.9%、手技については、やや上手にできた53.3%、上手にできた35.6%であった。ハンドケア技術の難しさについては、やや難しかった42.2%、やや難しくなかった42.2%であった。患者役では、リラックスできた88.9%、温もりを感じた84.4%、心地よかった91.1%であった。看護師役の学びの記述からは、「患者との距離が縮まった」「温もりを伝えることが大切」「加える圧やスピードで患者が感じる心地よさが人によって違う」「患者を観察し、確認しながら行うことが大切」などの記述が多く、患者役の学びは、「安心感があり驚いた」「触れられているだけでも温かさを感じた」「ハンドマッサージのイメージが変わった」などの学びがあった。【考察】本研究から、ハンドケアの方法については、圧やスピードについて難しいと感じていたことから、技術面においては、より具体的な教授方法の検討が必要と考える。しかし、ハンドケアは、指圧・マッサージではないこと、触れることで温もりを伝えるというその行為の大切さを学んでいた。患者の安楽だけでなく看護師役の学生自身もリラックスや穏やかになるといった相互作用を体験し、短い時間であっても患者のことを思い、優しさを伝えられるケアであることを学び、がん患者に寄り添う看護について実感としての学びにつながっていたと考えられ、ハンドケアの教育効果が得られたと考える。