第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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ポスター

ポスター13 群 質の高い看護人材を育成する教育②

Sat. Sep 30, 2023 1:15 PM - 2:15 PM ポスター会場 (イベントホール)

座長:中川 有加

[ポスターO-13-1] A 県における訪問看護ステーション内の現任教育の現状と課題

武田 美津代, 林 裕栄, 水間 夏子 (埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科)

Keywords:訪問看護ステーション、管理者、訪問看護師、人材育成、現任教育

【目的】急速な高齢化の進展が予測されるA 県では、地域で活躍できる訪問看護師の育成が急務である。病院勤務の看護師に比べ、全国的に訪問看護師に関してはキャリア開発のための体系化された研修や教育を実施しているところは少ない。本研究の目的は、管理者の認識から訪問看護ステーションにおける訪問看護師の現任教育の現状と課題を明らかにすることである。【方法】A 県訪問看護ステーション協会加入の訪問看護ステーション(以下、施設)309 施設の管理者対象の調査。管理者・施設の属性、施設内の教育など、独自に作成した無記名自記式質問紙を依頼文書と共に郵送。依頼文書には研修参加は自由意志であり参加の有無で不利益を被らないこと、無記名で施設は特定されないよう集計することを明記した。2022 年2 月~ 4 月に返信された回答を研究協力の同意を得たものとし、施設の概要および教育内容や方法などを単純集計した。【結果】78 部(回収率25.3%)のうち、管理者情報が不明な回答を除く73 部を対象とした(有効回答率23.6%)。管理者の訪問看護師経験年数は平均14.7 年、10年以上が6 割で最短1.8 年だった。管理者経験は平均6.3 年で、1 年未満が1 割、1 ~ 3 年未満が2 割だった。ひと月の施設利用者実数は平均128 名で、最高2139 名だった。職員総人数は平均13 名、看護職員は平均8 名だった。勤務年数の平均は3 年未満が4 割、3 ~ 5 年未満が2 割、5 ~ 10 年未満と10 年以上が各2 割だった。6 割以上の施設に年間教育実施計画があり、A県訪問看護ステーション協会版新卒者等訪問看護師育成プログラムや日本訪問看護財団作成OJT シート、独自のプログラムなどの人材育成ツールを活用していた。教育・研修方法はケースカンファレンス・伝達講習・職場外研修・同行後の振り返りなどだった。教育の悩みは、人材育成ツールの活用法がわからない・訪問に追われ時間がない・スタッフの研修参加意欲が低い・新入職者の教育担当に機会を作れないなどだった。【考察】教育方法は一様で看護職員の経験が考慮されておらず、人材育成ツールを活用しても成果を得ていない。習慣化した教育内容では学習の意欲や達成感も低下するが、施設毎に多角的な教育をするのは準備や指導体制などから限界がある。多職種・多機関の協力を得ながら現任教育を体系化し、訪問看護の質の確保のために教育を共有する必要がある。