第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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ポスター

ポスター5 群 看護職の心の働きとその対処②

Fri. Sep 29, 2023 1:15 PM - 2:15 PM ポスター会場 (イベントホール)

座長:望月 宗一郎

[ポスターO-5-1] 急性期病院における危険予測スケールを活用した高齢者の身体抑制に対する看護師のジレンマへの効果

大西 由紀1, 中田 公美1, 山口 典子1, 濱田 裕子1, 稲村 尚子2, 塚原 節子3 (1.黒部市民病院, 2.富山県立大学看護学部看護学科, 3.東京医療学院大学保健医療学部看護学科)

Keywords:身体抑制、ジレンマ、高齢者、認知症

【目的】急性期病院における危険予測スケールを活用した高齢者の身体抑制に対する看護師のジレンマへの効果を明らかにする。【方法】研究の趣旨とデータの厳重管理及び研究参加への自由意思、学会や論文投稿の可能性について説明し同意を得られたA 病院B 病棟に勤務する看護師25 名に対し、3 ヶ月間危険予測スケールを用いて身体抑制の継続の是非の評価を実施した。その前後で「高齢者の身体抑制に対する看護師のジレンマ20 項目」を含むアンケート調査を実施し、SPSS Stataics26 を用いて対応のあるt 検定を行った。【結果】対象者の平均年齢は33.50 歳であり平均経験年数は11.77 年であった。危険予測スケールの使用前後共に「高齢者の身体抑制に対する看護師のジレンマ20 項目」は平均値が3 点台後半~ 4 点台と高い結果であった。分析の結果、合計での有意な差は認められなかったが、分類< 看護業務> において合計平均値、及びジレンマ項目「ADL 介助・ルーチン化された業務が多い時、身体抑制をされる高齢者がいても仕方がないと思う。」においては有意に点数が減少していた。【考察】本研究の対象者は身体抑制の経験がある看護師が多く、ジレンマが高い傾向にある事や経験から得た身体抑制に対する概念があると予測された。これらの事より、判断の基準となる危険予測スケールを導入したがジレンマに影響がなかった可能性が考えられた。ジレンマ分類a 看護業務「ADL 介助・ルーチン化された業務が多い時、身体抑制をされる高齢者がいても仕方がないと思う」は業務中の優先順位に関わる項目であり、業務改善や工夫により解決できる可能性がある。そのため、患者の状態を判断する材料が加わり評価が行いやすくなった事で業務にゆとりが生まれ、「業務の工夫を行えば身体抑制を解除できるかもしれない」という意識が生じジレンマの軽減に繋がったと考えられる。また、危険予測スケールを使用した事が身体抑制の判断への正当性となった可能性も考えられた。危険予測スケールは指標であり、身体抑制の判断はカンファレンスによって決定するものである。多職種との定期的なカンファレンスにより多角的な意見を得ることができ、危険予測スケールでは身体抑制を解除できない事例でも身体抑制を解除できる可能性がある。身体抑制を解除したいが踏み切れない看護師のジレンマの軽減につながるのではないかと考えられた。