第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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ポスター

ポスター5 群 看護職の心の働きとその対処②

Fri. Sep 29, 2023 1:15 PM - 2:15 PM ポスター会場 (イベントホール)

座長:望月 宗一郎

[ポスターO-5-3] 急性期病棟での認知症患者を看護する看護師が感じる困難感

阿川 智子, 内山 由紀子, 菅原 莉奈 (山陽小野田市民病院)

Keywords:認知症ケア、困難感要因、急性期病棟

【目的】日本老年看護学会は「急性期病院において認知症高齢者を擁護する立場表明2016」を発表し、認知症ケアの質の向上を喫緊の課題としている。A 病院においても、急性期特有の多重課題を抱えるなか認知症ケアに困難を感じることが多い。本研究の目的は、近年作成された急性期病院で認知症高齢者をケアする看護師の困難感尺度(Nurses' difficulties in dementia care 以下NDDC 尺度とする)を用いて、急性期病棟看護師( 以下急性期とする) が感じる認知症ケアの困難感を、地域包括ケア病棟看護師( 以下地域包括とする) と比較しその違いを明らかにすることである。これにより急性期病棟における認知症ケアの質の向上の示唆が得られると考えた。【方法】本研究は無記名自記式アンケート調査を実施した。調査項目は属性と、NDDC 尺度(全16 項目)について「全くない」から「いつもある」の6 段階で回答を得た。分析方法は急性期と地域包括の2 群間をMann-Whitney のU検定で比較検討した。本研究は研究者が所属する施設の医療倫理審査委員会の承認を受け実施した(承認番号22-1)。対象者へは研究の目的・参加の自由・個人は特定されないなどを明記した質問用紙を使用した。【結果】回答数79 名(回収率72%)で内訳は急性期54 名(68%)、地域包括25 名(32%)であった。NDDC 尺度の全体平均値は3.93 ± 0.90(平均±標準偏差)、急性期は3.86 ± 0.83、地域包括は4.06 ± 0.90 で両群に有意差は認めなかった。NDDC 尺度の中で両群とも最も平均値が高かった項目は「限られた職員で患者の生活行動を見守るのは困難」であった。【考察】急性期病院の看護師を対象とした先行研究でもA 病院急性期と同程度の困難感を生じていた。そのため急性期が地域包括よりも認知症ケアの困難感を強く感じているのではないかと考えていたが、両群に有意差はなく平均値では地域包括の方が高かった。これは、治療優先の急性期を脱した慢性期の患者にはADL 拡大など患者との関わりが密になることから困難感を強く感じるのではないかと考えられた。認知症ケアは病期の区別なく生じ困難感を抱きやすいことが分かった。最も困難だったのは限られた職員で患者を見守ることであるため、今後は他職種と協働して認知症ケアを行うことが必要なのではないかと考える。