第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

Presentation information

ポスター

ポスター5 群 看護職の心の働きとその対処②

Fri. Sep 29, 2023 1:15 PM - 2:15 PM ポスター会場 (イベントホール)

座長:望月 宗一郎

[ポスターO-5-4] 緩和ケア病棟での看護師のグリーフケアへの取り組み

―シェア会を開催して―

村上 雪美, 大沼 由美恵, 泉田 美奈 (盛岡赤十字病院)

Keywords:緩和ケア病棟、看護師、シェア会、看護師のグリーフケア、終末期看護

【目的】亡くなった患者への看護やその時の感情等について看護師のみで語り合うシェア会にはどのような効果があるのかを明らかにする。【方法】対象はA 病棟看護師17 名。シェア会1 回の参加人数4 ~ 5 名、2019 年8 月~ 10 月に1 回30分程度で全10 回実施。シェア会後にふりかえり用紙を渡し、提出は任意とした。ふりかえり用紙の内容は、シェア会で気持ちを共感してもらえたと感じたか、自分の気持ちや感情を素直に話す事ができたか、シェア会は意味のある会になったか等とした。対象者へ本研究の趣旨・参加の有無に関わらず不利益は生じない事、得られた情報は目的以外では使用しない事を口頭で説明した。【結果】参加人数はのべ48 名。そのうち事例提供者はのべ12 名。42 枚のふりかえり用紙を回収した。ふりかえり用紙に記載された文章は類似ごとにまとめた。事例は「自分の受け持ち患者への想い」が多く、内容として「これで良かったかなともやもやした事」が半数だった。事例提供者は、気持ちを共感してもらえたと感じたかについて「とても感じた」が91%で、その理由として<自分の事のように涙して傾聴してもらえたから>や<みんなも同じ気持ちだということを言葉にして言ってもらえたから>という類似回答が多かった。話を聴く側は「事例提供者に共感した事」や「自分の経験の中で感じた事」などについて語ったと記載していた。自分の気持ちや感情を素直に話す事ができたかについては事例提供者、話を聴く側ともに「話せた」「十分話せた」が83%で、その理由として<同じような場面を経験しており共感できたから>や<話しやすい環境だったから>が半数であった。シェア会は意味のある会になったかについては「意味があった」が92%で、その理由として<同じような悩みがあり自分だけではないと感じたから>や<悩みや気持ちを共有する事で自分の心の中にあったつらさが少し和らいだから>等の回答が多かった。【考察】シェア会は、終末期患者の看護を行う中でさまざまな感情や心残りを抱える看護師の想いを素直に表出できる場となる。そして、抱えていた心のつらさは「自分だけではない」と感じることができる事、同僚に共感・共有をされることでそのつらさが和らぐ効果がある。これは事例提供者、話を聴く側にとっても同じ反応であり、看護師同士で行うシェア会は看護師のグリーフケアに効果をもたらすと考える。