第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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ポスター

ポスター7 群 看護の質向上のための取組み②

Fri. Sep 29, 2023 10:15 AM - 11:15 AM ポスター会場 (イベントホール)

座長:李 錦純

[ポスターO-7-3] 市町村保健師による母子健康手帳交付時の活動に関する検討

原賀 美紀 (産業医科大学産業保健学部看護学科)

Keywords:市町村保健師、母子健康手帳交付、文献検討

【目的】母子健康手帳交付時の面談は、育児支援の出発点となり、市町村保健師にとって妊産婦等の情報を把握する重要な機会となっている。また、子育て世代包括支援センターにおいては、保健師等による母子健康手帳交付時の健康相談が主な業務として位置づけられている。そこで、本研究の目的は、母子健康手帳交付時の市町村保健師による面談の実態を、文献より明らかにすることである。【方法】医中誌Web を用いて、2000 年から2023 年に国内で発表された文献から「母子健康手帳または母子手帳」「保健師」のキーワードを組み合わせ68 件が抽出された。さらに、原著論文と看護文献で絞り込み、重複した文献や文献研究を除き、母子健康手帳交付時の保健師の活動が記述されている文献10 件を分析対象とした。各文献を精読し、母子健康手帳交付時の保健師の活動に関する記述を抜き出し、マトリックス表を作成し、活動内容の共通性から分類・整理した。倫理的配慮として、公開されている論文を基にし、個人名や機関名等が特定されないように配慮した。また、著者の意図を損なわないよう記述内容に注意し結果を抽出した。【結果】研究対象は市町村保健師5 件、次に母子保健担当課職員4 件で、職種が明記されていなかった。そして外国人の母親1 件であった。調査方法は、質問紙調査8件、インタビュー調査2件であった。母子健康手帳交付時の保健師活動については、アンケート等で把握する情報4 件、アセスメントの視点2 件、妊婦への支援内容2件、課題2 件であった。収集する情報やアセスメント、出産後の養育について支援が必要な妊婦への支援内容が示されていた。一方、全妊婦への面談時間の確保やマンパワー、妊婦の状況を的確に捉え、判断することの困難さ、医療機関との連携などの課題が示されていた。【考察】育児支援の出発点となる母子健康手帳交付では、全妊婦への面談においてアンケート等を活用しながら情報の把握、アセスメントから特定妊婦等の支援に繋げていた。しかし、情報収集からアセスメントとその後の支援の一連のプロセスが示された文献はなかった。今後は、児童虐待予防を視野に入れた切れ目のない支援に向け、より長いスパンでの保健師の支援プロセスを明らかにする必要がある。また、妊婦や家族の立場から面談時の状況を明らかにし、母子健康手帳交付時の保健師活動の全容を示す必要がある。