第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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ポスター

ポスター8 群 看護の質向上のための取組み③

Sat. Sep 30, 2023 9:00 AM - 10:00 AM ポスター会場 (イベントホール)

座長:山中 晶子

[ポスターO-8-4] 血液透析導入期における高齢患者と家族への看護介入の検討

上田 咲, 藤本 敦子, 髙橋 美希, 新田 和美, 下田 佳代子 (山口県済生会下関総合病院)

Keywords:血液透析導入期、高齢患者、家族

【目的】血液透析を導入する高齢患者が増加している。支援を必要とする患者も多く、それに伴い、家族も生活スタイルの再編を余儀なくされる。そこで血液透析導入となった高齢患者と家族の思いを明らかにすることで、今回の導入期の看護介入について検討した。【方法】血液透析を導入した80 歳代の患者と長女に、半構成的面接を個々に行った。面接は、導入後2 週間、導入後2 カ月、導入後3 カ月の計3 回行った。承諾を得て録音を行い、逐語録を作成してコード化し、《カテゴリー》を抽出した。倫理的配慮として、所属施設の倫理委員会の承諾を得て、対象者の個人が特定されないこと、不利益が生じないことを説明し、口頭と書面で同意を得た。【結果】患者の思いは285 枚、長女の思いは250 枚コード化された。導入後2 週間は患者、長女共に《衝撃》を抽出した。導入後2 カ月は、患者からは《前向きな受け止め》《セルフケア習得への望み》《長女への感謝》《長女との生活維持》、長女からは《前向きな受け止め》《母親との生活維持》を抽出した。導入後3 カ月は、患者からは《セルフケア習得の困難感》、長女からは《セルフケア援助の困難感》《生活破綻への不安》を抽出した。【考察】今回の事例では血液透析導入直後は患者、家族共に衝撃を受け、戸惑いを感じていた。特に患者は、死や未知の治療への恐怖を感じていた。そのため、透析導入直後は、不安の内容や程度を把握し、思いやりのある態度で寄り添い、傾聴する場をもつことが必要である。導入後2 カ月では、患者、家族共に衝撃から透析治療への肯定的な感情の変化がみられ、セルフケア習得に向けての意欲が認められた。この変化には、患者、家族共に2 人で暮らす生活を維持したいという願いが基盤にあったと考える。そのため、透析生活における意義を見出せるように患者、家族への関りが必要であった。導入後3 カ月では、患者はセルフケア習得、家族はその援助の困難感を感じていた。このことから、患者のADL や認知機能に合わせて、患者のできることや強みをアセスメントした患者指導が重要といえる。また、家族は介護負担増大による生活破綻への不安を感じており、患者と家族が孤立せず、様々な社会資源が活用できるように、働きかけを行なう必要性が明らかになった。