第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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ポスター

ポスター9 群 住み慣れた地域に戻ることへの支援

Sat. Sep 30, 2023 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (イベントホール)

座長:髙木 智美

[ポスターO-9-2] A 病院( 急性期) における病棟看護師の退院支援実践度の現状と課題

―自己評価尺度を用いて―

中村 友香, 竹下 多美 (名古屋医療センター)

Keywords:急性期病院、退院支援、自己評価尺度

【目的】『病棟看護師の退院支援実践自己評価尺度(以下DPWN)』を使用し、A 病院(急性期)における退院支援実践度について明らかにする【方法】DPWN(4 因子24 項目)を基に質問紙を作成。A 病院(急性期)で1 年以上勤務し、退院支援を実践するクリニカルラダー(以下ラダー。5 つに分類)1 以上の看護師・助産師322 人を対象に無記名自記式質問紙調査法。SPSS Ver.22 を用い解析。対象者に研究の主旨や個人情報の守秘研究参加の自由意思と不利益が生じないことを保証。調査期間は2021 年12 月10 日~ 12 月24 日。各病棟にボックスを設置。質問紙の投函をもって同意とみなし、研究者本人が回収。【結果】262 部回収(回収率81.3%、有効回答率98%)。A 病院における尺度合計平均値は90.5(標準偏差(以下SD)± 14.3)点と正規分布を示した。以下有意な差(p 値≦ 0.05)のある結果について述べる。また、ラダー毎の回答人数にばらつきがあり、実践度が高いラダー5を比較対象としてt 検定を実施。その結果、平均値のラダー別比較ではラダー1:86.9(SD ± 12.6)点、ラダー2:92.0(SD ± 14.4)点、ラダー3:87.7(SD ± 14.9)点、ラダー4:93.7(SD ± 13.8)点、ラダー5:93.6(SD ± 14.6)点となり、ラダー1・5 とラダー3・5 の比較ではいずれもラダー5 の実践度が高かった。慢性期疾患病棟群と高い要介護度病棟群における平均値の2 群比較では、慢性期群:87.7(SD ± 14.1)点、要介護群:92.6(SD ± 13.9)点で要介護群の実践度が高かった。【考察】回答人数のばらつきもあり妥当性は十分ではないが、看護師経験に比例して実践度が高くなるとは言えず、ラダー4 以上では一通りの支援ができると考える。ラダー2、3 の結果の逆転についてラダー2 では指導下での実践が多いこと、ラダー3 では個別性を意識し自身で進めていくことから、実践度の差が生じた。また、急性期における慢性期疾患ではADL 低下に直結されず、患者の疾患管理能力など介入の複雑さが実践度の結果につながったと考える。以上から、急性期病院でも退院支援に関してアップデートされた知識、ラダー別での継続した教育や支援、多職種を含めた研修の開催など、患者の特性を理解した退院支援の連携を検討していくことも必要である。