第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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ポスター

ポスター9 群 住み慣れた地域に戻ることへの支援

Sat. Sep 30, 2023 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (イベントホール)

座長:髙木 智美

[ポスターO-9-3] 終末期白血病患者の在宅療養移行支援における病棟看護師の思考と行動

高田 幸恵1, 山中 政子2, 松井 利江2, 奥田 眞紀子2 (1.天理よろづ相談所病院, 2.天理医療大学医療学部看護学科)

Keywords:終末期、白血病、在宅療養移行支援、病棟看護師

【目的】白血病患者は、終末期には輸血依存状態となり、発熱や出血等の多彩な症状もあり、在宅療養に移行するタイミングを逃しやすい。そこで、終末期の白血者患者の事例を振り返り、在宅療養移行支援における病棟看護師の思考と行動を明らかにした。本研究結果から、終末期の自宅療養が困難な白血病患者の在宅療養移行における望ましい支援について検討できる。【方法】研究デザインは後方視的事例研究である。研究対象は、終末期の白血病患者3 事例であり、いずれも寛解目的の治療継続が困難で、自宅での療養という患者と家族の希望を実現できた事例である。診療録や看護記録、地域連携の記録の記述、加えて担当看護師から当時の状況を聞き取った内容をデータとした。得られたデータから事例患者の在宅療養移行支援に関する病棟看護師の思考と行動を抽出し、時系列に整理して質的記述的に分析した。研究倫理委員会の承認を受け、患者家族への説明と同意はオプトアウト方式で実施した。【結果】3 事例は男性2 名、女性1 名、70 歳代2 名、80 歳代1 名であった。抽出したコード数は65 であり、21 のサブカテゴリー、以下の9 つのカテゴリーに集束された。在宅療養移行支援における病棟看護師の思考と行動は、<患者と家族の終末期のありようを治療期から意識する>ことに始まり、在宅療養移行期には<この患者と家族にとって在宅療養の益が入院よりも上回ることを共通認識する><療養の場を自宅に移す患者と家族の準備状態を整える><最期まで在宅ケアを中断させない体制をつくる><在宅部門が行う自宅の療養環境づくりに参画する><切れ目なく在宅療養につなぐために情報を伝達する>、在宅療養維持期~看取りの準備期には<在宅療養の継続を妨げうる患者と家族間の問題に対応する><患者と家族が望む看取り実現のために準備を急ぐ>、患者の看取り後には<在宅療養移行の成功体験を次につなぐ土壌づくり>といった、白血病治療期から看取り後までの長期に及ぶ継続的な支援が明らかになった。【考察】病棟看護師は寛解を目指す治療の段階から、その患者の今後の病状経過を見通し、生活背景をふまえた在宅療養移行支援を開始していた。病棟看護師が行う支援として、在宅療養の有益性を患者家族と共通認識すること、在宅療養の準備を整えること、最期まで在宅療養が継続できるよう在宅部門との協働を強化することが必要と考える。