第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

Presentation information

ポスター

ポスター9 群 住み慣れた地域に戻ることへの支援

Sat. Sep 30, 2023 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (イベントホール)

座長:髙木 智美

[ポスターO-9-5] 患者・家族の声を聴きたい

―退院支援における情報収集能力の向上を目指して―

奥野 美幸, 入野 日奈子 (市立池田病院)

Keywords:退院支援、情報収集、情報収集シート

【目的】A 病院は地域医療の中核を担う急性期病院であり、患者の希望を伺いつつ状態に応じた療養先へ繋げる必要がある。B 病棟はクリニカルパス(以下CP)使用率80%の3 科混合病棟である。退院支援において看護師の得ている情報量に差がありカンファレンスが有効に行われていない現状があった。そこで情報不足となる要因を明らかにし、改善に向けて取り組み効果的な情報収集へと発展したため報告する。【方法】研究期間は2022 年6 月~ 2023 年1 月。病棟看護師29 名を対象に実態把握の為のアンケートを実施。結果より情報収集シートを作成し、入院時に退院調整が必要となる患者に使用。得た情報は退院支援記録に記載した。また退院支援のシステムや早期介入の必要性についての勉強会を開催。これらの取り組み前後での情報収集量を監査し評価した。また無作為に選定した看護師10 名に情報収集シートについて半構造化インタビューを実施した。アンケート及びインタビューは匿名で行い、個人情報の保護を厳守した。また、看護部内の看護研究倫理委員会の承認を得た。【結果】アンケート回収率は100%、社会資源の利用状況家庭状況の聴取が必要との認識は高かったが、患者・家族の希望について聴取が必要と回答したのは48%であった。患者家族の思いや社会資源を記載できる情報収集シートを作成し運用後の実際の情報聴取率は、全ての項目で増加した。患者・家族の希望においては14%から46%と大きく増加を認めた。インタビューでは、情報収集シートにより「情報収集がしやすくなった」が6 件、「スムーズな退院調整につながった」が3 件、「患者の選定が困難」が2 件であった。また「退院支援介入依頼を48 時間以内、退院支援記録の記載を72 時間以内に行うこと」について理解しているスタッフは19%であった。【考察】B病棟は入院患者のCP 適応率80%であり、標準的な経過を辿る患者が多い。そのため退院後の生活について患者・家族の希望を確認することへの意識が低くなっていることが考えられた。これまで退院支援に関する情報収集は個人の判断に委ねていたが、情報収集シートを用いて標準化することで、ラダーレベルなど個人のスキルに関わらず必要な情報量の増加がみられた。今後は情報収集シートの運用の継続、定期的な勉強会の開催、入院翌日に患者カンファレンスを確実に開催するなどのシステム構築が課題である。