第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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2022年度日本看護協会調査研究報告

2022 年度日本看護協会調査研究報告

Sat. Sep 30, 2023 10:30 AM - 11:30 AM 第3会場 (1003)

座長:市村 尚子

登壇者:南平 直宏・岩澤 由子・宮脇 英恵

[RR1-1] 看護職員の離職状況等について

~病院看護実態調査より~

南平 直宏 (日本看護協会医療政策部医療制度課)

【背景】
 日本看護協会「病院看護実態調査」によれば、正規雇用看護職員の離職率はこの10 年間(2011年度から2020 年度)11% 前後(10.7% ~ 11.5%)で推移し、また新卒看護職員の離職率は同期間に8% 前後(7.5% ~ 8.6%)で推移している。少子化が進み、今後看護職の人材不足が予測される状況において、看護職の離職は大きな課題である。今後の対策を考える上で、看護職員の離職率の推移(変化)については継続的に注視する必要がある。
【目的】
 2021 年度の看護職員の離職状況等を把握する。
【方法】
 「2022 年病院看護実態調査」として、2022 年10 月1 日~ 11 月10 日の期間、全国の8,165 病院(全数)を対象に調査を実施した。調査方法はExcel 調査票の入力・返信による調査とし、事前に調査協力依頼(ID・パスワード含む)を送付し、回答にあたっては調査専用サイトよりExcel形式の調査票をダウンロード・記入後、送信・回答する方式とした。本調査は日本看護協会研究倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果】
 「病院看護実態調査」の有効回答数は2,964 施設、回収率36.3% だった。2021 年度の看護職員の離職率は正規雇用看護職員11.6%(対前年比1.0 ポイント増)、新卒採用者10.3%(同2.0 ポイント増)と増加した。正規雇用及び新卒採用者離職率はどの病床規模でも前年度よりも高かった。新卒採用者離職率を設置主体別にみると、「その他の法人」を除く全ての設置主体(国立、公立、日本赤十字社、済生会、厚生連、その他公的医療機関、社保関係団体、公益社団・財団法人、私立学校法人、医療法人、社会福祉法人、医療生協、会社、個人)で前年度よりも高かった。都道府県別では、47 都道府県のうち38 都道府県で新卒採用者の離職率が前年度よりも高かった。新卒採用者の離職率は同様の方法で把握してきた2005 年以降で最も高く、初めて10% を超えた。その背景には新型コロナウイルス感染症の影響が一定程度あったと考えられ、2021 年度の退職者が増加したと回答した病院は約35% で、昨年度調査結果(約26%)よりも増加した。また、増加した場合その約38% に新型コロナが影響していると回答した。
【考察】
 2021 年度の新卒離職率は2021 年4 月1 日から翌年3 月末までの離職状況を反映したものである。2021 年度の新卒看護職員は、就業前の1 年間が、新型コロナの緊急事態宣言により臨地実習が制限されるとともに、就業後も新型コロナの「波」の中に置かれており、そのような状況が何らか影響して新卒離職率を高めた可能性が考えられる。