第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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2022年度日本看護協会調査研究報告

2022 年度日本看護協会調査研究報告

Sat. Sep 30, 2023 10:30 AM - 11:30 AM 第3会場 (1003)

座長:市村 尚子

登壇者:南平 直宏・岩澤 由子・宮脇 英恵

[RR1-3] 回復期・慢性期医療における看護の役割と配置について

~回復期・慢性期看護実態調査より~

南平 直宏 (日本看護協会医療政策部医療制度課)

【背景】
 急性期入院医療における在院日数短縮などにより、回復期・慢性期入院医療において医療依存度の高い患者が増加し、看護職員の負担が増加しているとの指摘があることから、回復期・慢性期入院医療の実態を把握する必要がある。
【目的】
 回復期・慢性期入院医療を担う、①回復期リハビリテーション病棟(以下「回リハ」という。他も同様)、②地域包括ケア病棟(以下「地ケア」)、③療養病棟(以下「療養」)、④緩和ケア病棟(以下「緩和」)における看護の役割と役割に応じた看護配置の実態を把握する。
【方法】
 地方厚生局ホームページの「施設基準の届出状況」(令和4 年7 月時点)を用いて上記病棟を有する病院、4,793 病院を抽出し、その全数を対象に2022 年11 月1 日~ 12 月28 日の期間、「回復期・慢性期看護実態調査」を実施した。調査方法はExcel 調査票の入力・返信による調査とした。調査票は全病院が回答する病院票と、病棟がある場合に回答する回リハ票、地ケア票、療養票、緩和票の5 種類とした。本研究は日本看護協会研究倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果】
 有効回答数は1,069 施設、回収率22.3%(調査票ごとの回収率は病院票22.3%、回リハ票29.2%、地ケア票20.3%、療養票16.1%、緩和票32.9%)だった。看護職員配置(いわゆるX対1 看護のX)の中央値(以下、中央値を[ ] で示す)は回リハ[10.3]、地ケア[8.2]、療養[13.0] で急性期病棟の基準(入院料1は7 対1 以上、入院料2 は10 対1 以上)に近い配置となっていた。緩和は[3.7] だった(基準は7 対1 以上)。また回リハでは転倒・転落[ 発生率3.6%] や意思決定支援[ 入院実患者100 人換算19.4 回/月] への対応、療養では認知症患者[ 該当患者割合(以下、同様)63.3%] や様々な医療機器管理・医療処置への対応[ 経鼻経管栄養20.0%、点滴11.1%、痰の吸引48.0%(夜間44.4%)等]、地ケアや緩和では昼夜を問わない点滴[ 地ケア11.1%(夜間7.0%)、緩和29.2%(夜間12.5%)] や痰の吸引[ 地ケア10.7%(夜間9.4%)、緩和18.2%(夜間12.5%)] などを多く行っていた。
【考察】
 回復期・慢性期医療を担う回リハ、地ケア、療養、緩和の各病棟では、概して配置基準を大きく上回る看護職員を配置して、患者の状況に応じた様々なケアを提供する役割を担っていた。今後さらに患者が高齢化し、認知症を有する方も増えると見込まれるなか、医療ニーズへの対応と在宅移行支援・意思決定支援を的確に行っていくためには、看護職員の適切な確保と看護業務の効率化が益々重要になると考えられる。