第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 札幌

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特別企画

特別企画
日本看護協会等が実施の調査報告

Fri. Sep 2, 2022 12:15 PM - 1:30 PM 口演会場1 (小ホール)

登壇者:田上 京子・南平 直宏・鈴木 理恵・ 中村 奈央/堀川 尚子・高田 昌代

【背景】
 人口減少に伴い外来患者数の減少が進む一方で、在院日数の短縮化と医療技術の発展もあり、入院と在宅医療の間に位置する外来が担う機能は多様化・高度化している。外来看護職は診療の補助はもとより、療養支援や意思決定支援、入院前支援や地域関係者との調整等、多様な役割を担っているが、外来看護職員配置は昭和 23 年に制定された医療法上の「30 対 1」のままである。外来機能報告制度の施行により、「紹介受診重点医療機関」と「かかりつけ医機能を有する医療機関」の外来機能の明確化と連携が推進されており、外来機能に応じた看護職員配置のあり方の検討が求められる。
【目的】
 病院における外来看護職員配置と外来看護機能の実態と課題を把握することにより、地域包括ケア推進に資する外来看護のあり方についての検討を行う。
【方法】
 2021 年 10 月 1 日~ 11 月 22 日までの期間、全国の 8,202 病院(全数)を対象に Excel 調査票による調査を実施した。
【結果】
 有効回答数は 2,668 施設(回収率 32.5%)であった。外来看護職員 1 人あたりの外来患者数(中央値)は 14.3 対 1 で、病床規模が小さくなるほど手厚い配置となっていた。特定機能病院・三次救急病院では 24.2 対 1、地域医療支援病院では 15.3 対 1、その他病院では 12.9 対 1 と、病院機能による有意差が認められた。特定機能病院・三次救急病院では、「診察室の準備」や「案内・検査の付き添い」、「記録の作成」、「事務的な説明」等について、他職種とのタスク・シフティングの実施割合が有意に高く、外来における療養支援も「スクリーニングシートの活用」や「要支援患者の抽出・情報共有を目的とした、病棟や地域等とのカンファレンスの実施」、「退院前訪問」等について、実施できていると回答した施設割合が有意に高かった。一方、手厚い配置が行われていた、病床規模が小さい病院では「医師 1 人につき看護職員が 1 人以上配置されている」割合が高く、診察室への医師事務作業補助者や看護補助者の配置が手薄い状況にあった。外来看護師が多様で広範な業務を担っており、「往診同行」や「自宅等への訪問看護」は病床規模の小さな
病院の方が実施している割合が高かった。
【考察】
 外来看護の機能及び看護職員配置は、病院機能に伴う違いが大きく、「人員配置標準 30 対 1」は実態に合わない。一律的な配置基準ではなく、特定機能病院及び地域医療支援病院等、外来機能に応じた人員配置標準の見直しが必要である