[ポスターS-2-1] 経口摂取ができない後期高齢患者へのOHATを活用した一事例
Keywords:OHAT、口腔ケア、高齢者
【目的】A病院の療養病棟では、嚥下機能が低下し、経口摂取困難となった患者が多く、口腔ケアを重視している。今回、口腔内に潰瘍が見られ、経口摂取が出来ない状態の患者にOral Health Assessment Tool(以下OHAT)を活用して口腔状態の改善を図り、経口摂取が可能となった。OHATを活用した口腔ケアの実践が経口摂取に繋がった要因を明らかにする。【方法】研究デザインは、事例研究である。対象者は、入院時口腔内に潰瘍などがあり経口摂取が困難であった、80歳代の女性で、看護記録よりOHATを用いた評価と、行った口腔ケアに関する内容を経時的に分析した。OHATは、口腔内の状況を把握し、その評価点数を基にケアプランを作成し、口腔ケアを行うツールである。倫理的配慮として、対象者とその家族に対し研究の趣旨を説明し、自由意思による承諾を得た。また、所属施設の倫理委員会の審査を受け、承認を得た。【結果】対象者は、入院時の意識レベルがJCS:Ⅱ-20で口腔内には潰瘍があり、舌苔が強く付着していた。また唾液量が少なく、経口摂取が困難な状態であった。OHATによる評価では、潰瘍・唾液で各2点、舌・残存歯・口唇は各1点であった。口腔ケアを3回から4回へ増やし、潰瘍に対する刺激で痛みがでないよう、スポンジブラシで軽く押し当てるようにケアを行った。2ヶ月後のOHATの評価では、潰瘍は0点となり、舌苔と残存歯がそれぞれ1点となった。また、OHATの評点の向上に伴って、嚥下困難者用食品であるプロッカZNⓇから食事を開始し、全粥食、極キザミ食へと改善が見られ、施設へ退院することができた。【考察】高齢者になると、加齢により唾液量の減少による自浄作用の低下、口腔内汚染、嚥下機能低下、肺炎のリスクが高くなる。今回B氏に対し、入院当初からOHATを用いて口腔状態を評価した結果、病的と判断したため、口腔ケアの回数を増やし、口腔内への刺激を軽減させるためにスポンジブラシを使用して、ケア方法の工夫を行った。また、OHATを用いて口腔内状態を点数化することで評価が明確になり、スタッフ間で口腔内状態とその人に合わせたケア方法の情報共有が図れたことで、統一したケアが出来たと考える。その結果、唾液が増加し口腔内状態が改善され、経口摂取に繋がったと考える。