第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 札幌

Presentation information

ポスター

ポスター2群:高齢者の健康維持増進への支援

Thu. Sep 1, 2022 11:30 AM - 12:30 PM ポスター会場 (206)

座長:伊波 早苗

[ポスターS-2-2] 大腿骨近位部骨折患者の周術期栄養管理に関する看護師の意識向上への取り組みと効果

加藤 留美, 松永 茉幸, 古賀 香奈子 (山口県済生会下関総合病院)

Keywords:大腿骨近位部骨折、栄養管理、コナット値

【目的】大腿骨近位部骨折患者は,痩身で受傷前から低栄養状態であることが多い。さらに,手術による侵襲があり術前から栄養評価が重要となる。しかし,看護師の栄養に関する知識不足により,効果的な栄養評価ができていない。そこで看護師の栄養管理について現状を把握し,学習会やカンファレンスを行うことで,栄養管理に関する意識向上に繋がるか検証した。【方法】研究期間は令和1年11月~令和2年4月で対象者は整形病棟看護師27名。管理栄養士,研究者による栄養管理の必要性の学習会を4回行った。コナット値(アルブミン,末梢リンパ球数,総コレステロール値をスコア化)を含めた栄養状態を評価するためのシートを独自に作成し,大腿骨近位部骨折患者に対し,入院時と1週間毎にシートを用いてカンファレンスを行った(以後介入後)。栄養管理について,看護師の意識や知識を確認するための19項目のアンケートを作成し,介入前後で実施し,評価は5段階評定尺度(5=思う~1=思わない)とした。入院時と退院時のコナット値の変化を調査した。アンケートとコナット値の結果をウィルコクソン符号付順位和検定を用いて検定した。本研究は,A病院の看護部倫理委員会で承認を得た。研究の趣旨,結果の公表には個人が特定されないよう配慮をすること,参加や辞退は自由意思であり不利益が生じないことを口頭と文書で説明し同意を得た。【結果】アンケートの「栄養管理の必要性を理解している」「栄養状態のアセスメント時,6項目を参考にしている」「体重測定を行っている」「患者にあった食事形態の選択ができている」「食欲不振について観察している」「アセスメント時,血液データ3項目を参考にしている」「NSTに関連する4項目を把握している」の17項目で介入後の方が有意に高かった (p<0.001,p<0.01,p<0.05)。コナット値を入院時と退院時で比較した結果,退院時の方が有意に高かった(p<0.01)。【考察】学習会により,看護師は栄養管理の必要性や栄養指標を理解できた。入院時にコナット値を算出し,シートを用いたカンファレンスを行うことで,看護師の栄養管理に対する意識向上に繋がった。コナット値が有意に介入後高かったのは,外科的侵襲後,約3週間はアルブミン値が下がり,正常範囲に戻る前に転院となることが原因と考える。栄養状態の改善には継続した介入が必要である。