[ポスターS-4-3] 精神科専門病院における認知症ケアチームのチームラウンド実践の意義
Keywords:認知症ケアチーム、精神科専門病院、チームラウンド
【目的】A病院はB県の精神科救急システムの基幹精神科専門病院である。認知症疾患医療センター指定後は、BPSDや精神症状を有する認知症患者の入院が増加し、認知症看護対応力向上とチーム医療の確立が急務となったため、認知症ケアチーム(以下ケアチームとする)が発足した。身体科病院においては認知症ケア加算の算定開始に伴いケアチームが院内の認知症看護対応力向上を担っている。精神科病院におけるケアチームの有効性に関する研究は少なく、A病院の認知症ケアチームの活動とその結果を報告するとともに、精神科病院におけるケアチーム、チームラウンドの導入効果を明らかにする【方法】A病院のケアチームでは身体科病院における認知症ケアチームの活動をモデルに、認知症患者への対応力や技術向上のための教育的な支援の他に、認知症困難事例対して、継続的なチームラウンドを行いコンサルテーションを実施した。本研究ではケアチームの活動に対してその有効性を病棟看護師へのアンケートと管理職者へのインタビューで評価した。(研究デザイン)現状分析及び実践報告。病棟看護師86名にアンケート、管理職者3名にインタビューを実施し介入効果を検証する【結果】チームラウンドの相談内容を集計した結果、「対応方法・ケア相談」「アセスメントの相談」「拘束等の行動制限の最小化の相談」の項目が9割を占めた。チームラウンドに対する病棟看護師に向けたアンケート結果からは、『チームラウンドで認知症ケアの困難感は改善したか?』で63%が改善したと回答し『自身の認知症看護対応力が向上したか?』で67%、『病棟チームの認知症看護対応力が向上したか?』で77%が改善したと回答した。管理職者へのインタビューからも同様の回答が得られた【考察】A病院のケアチームは、認知症ケア加算要件のケアチームと同様の活動指針でチーム活動を実践している。A病院看護師の相談内容は、集計結果からも身体科病院の看護師が感じる困難感と差異は無いと考える。アンケート・インタビュー結果からも、困難事例に対して専門的なコンサルテーションと継続的なチームラウンドの有効性が示唆され、精神科病院においてもケアチームの有効性が示された。精神科専門病院においても認知症ケアチームによるチームラウンドの効果を認め、院内の認知症看護対応力向上につなげることができた。