[SL1-1] 未来に向けた看護のパラダイムシフト
コロナ禍に加えてロシアのウクライナ侵攻という社会環境の激動の中で、国民意識も戦後の常識や惰性から大揺れしている。外交、防衛、財政といった国の根幹に関わる意識や優先順位も一気に流動化し、各方面で従来の枠組みにとらわれない物の考え方への転換が求められている。
看護を包含する社会システムも然りである。これまで構築されてきた医療保険などの財政制度 や保健医療関係の法規制がいつまでも今のまま看護に微温的であり続けると想定することは難しい。専門分化したサービス提供者が主体となって受益者を客体として推進してきた保健医療サービスの主客を転換すること(ヒューマンサービス)、最新の技術や情報の進歩を取り入れること(イノベーション)の両者も改革の基本理念に連なると考えている。
看護政策の基本は言うまでもなく看護の質の向上と量の確保であり、これを通じて看護職の社会的地位の確立が図られる。専門領域の知識技能を高め、看護需要増大に対して質量両面で供給を確保することが引き続き至上命題であり続けることに疑いはない。この方向でこれまで進めてきた道をさらに「深化」させていくことが先ず肝要だ。
しかしながら、その対象領域はこれまでの主戦場であった「臨床」だけでは時代の要請に応えきれなくなってきている。看護の本旨は法律にも規定されているように「診療の補助」と「療養上の世話」であるが、後者の守備範囲は今や臨床に止まらず病前、病後そしてもっと広く日常の健康生活全般に及んでいる。フレイル、ロコモ、未病などの言葉の普及にも見られるように、人生100年時代の保健医療フィールドは圧倒的に拡大し、ヘルスサービスは食事、運動、ヘルスケアビジネス、データ管理、健康経営等々、社会経済全域に拡大し、市場の成長分野に位置づけられている。これを扱う専門人材としてふさわしいのは誰か。能力的にも量的にも最もポテンシャルが高いのが医療保健スペシャリストとしての看護職ではないか。残念ながらその意識と行動は関係者の間でもまだまだ薄い。看護の関心分野を広げ、所要の技能や理論の習得と実践に向かうパラダイムシフトをここでは「拡張」と呼んでいる。
来るべき2040年を念頭に、看護職が臨床のみならずヘルスイノベーションの中核的存在としても活躍するための視点とともに、最近のイノベーション実例や人材養成の道筋についても情報を共有したい。
看護を包含する社会システムも然りである。これまで構築されてきた医療保険などの財政制度 や保健医療関係の法規制がいつまでも今のまま看護に微温的であり続けると想定することは難しい。専門分化したサービス提供者が主体となって受益者を客体として推進してきた保健医療サービスの主客を転換すること(ヒューマンサービス)、最新の技術や情報の進歩を取り入れること(イノベーション)の両者も改革の基本理念に連なると考えている。
看護政策の基本は言うまでもなく看護の質の向上と量の確保であり、これを通じて看護職の社会的地位の確立が図られる。専門領域の知識技能を高め、看護需要増大に対して質量両面で供給を確保することが引き続き至上命題であり続けることに疑いはない。この方向でこれまで進めてきた道をさらに「深化」させていくことが先ず肝要だ。
しかしながら、その対象領域はこれまでの主戦場であった「臨床」だけでは時代の要請に応えきれなくなってきている。看護の本旨は法律にも規定されているように「診療の補助」と「療養上の世話」であるが、後者の守備範囲は今や臨床に止まらず病前、病後そしてもっと広く日常の健康生活全般に及んでいる。フレイル、ロコモ、未病などの言葉の普及にも見られるように、人生100年時代の保健医療フィールドは圧倒的に拡大し、ヘルスサービスは食事、運動、ヘルスケアビジネス、データ管理、健康経営等々、社会経済全域に拡大し、市場の成長分野に位置づけられている。これを扱う専門人材としてふさわしいのは誰か。能力的にも量的にも最もポテンシャルが高いのが医療保健スペシャリストとしての看護職ではないか。残念ながらその意識と行動は関係者の間でもまだまだ薄い。看護の関心分野を広げ、所要の技能や理論の習得と実践に向かうパラダイムシフトをここでは「拡張」と呼んでいる。
来るべき2040年を念頭に、看護職が臨床のみならずヘルスイノベーションの中核的存在としても活躍するための視点とともに、最近のイノベーション実例や人材養成の道筋についても情報を共有したい。