第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演1群 ワークエンゲージメントを高める

Wed. Nov 8, 2023 10:30 AM - 11:30 AM 第6会場 (G304)

座長:宮崎 淳子

[口演Y-1-2] 外来部門で働く看護師の雇用形態と組織コミットメントとの関連性

川崎 奈穂, 藤原 美香子, 井手 佐智子 (広島市立広島市民病院)

Keywords:組織コミットメント、雇用形態、多様化、外来部門で働く看護師

【目的】A病院の非正規雇用の約9割が所属する外来部門で看護師の多様化する雇用形態と組織への帰属意識や関係性を表す概念である組織コミットメントとの関連性を明らかにする。【方法】外来看護師約224名を対象に参加者のプライバシーとデーターの保護に配慮した質問紙形式で属性及び開発者に承諾を得た日本語版3次元組織コミットメント測定尺度を調査した。尺度は情動(以下AC)6項目規範(以下NC)6項目継続(以下CC)6項目の計18項目からなり1~4点の4段階リッカートスケールで各項目の合計得点が高いほど組織コミットメントの程度が高いことを示す。分析は基本属性、組織コミットメントの総得点を正規雇用群(以下正規)と非正規雇用群(以下非正規)の2群で基礎統計及びt検定、Pearson相関分析を行った。【結果】224名に配布し195名から回答が得られ、その内169名を有効回答とした(有効回答率87%)。平均年齢47.7歳、A病院経験年数19.3年であった。組織コミットメントと各属性に相関関係は見られなかった。2群と組織コミットメントとの比較ではNCで正規13±3.1非正規11.8±3.3(P=0.03)と正規が高かった。項目毎の比較ではCCで「今病院を去る決意をしたら私の人生の大部分が崩れる」P=0.03「この病院を今すぐ去るのは実際には難しい」P<0.001の問いで正規が高く「病院をやめたら代わりの勤め先が見つからずに困るだろう」P=0.05の問いで非正規が高かった。NCは「今この病院にいるのは働く必要があるからだ」P=0.01の問いで正規が高かった。ACは両者間で有意差は認められなかった。【考察】正規の方がNCの概念である組織への義務感や忠誠心が高いことがわかり雇用形態による教育体制などが影響していると考えられる。CCは報酬や地位などを概念とし両者が共に職務経験が長いことから功利的な意味で組織にとどまる強い意思があり正規は特にCCとの関連性が強い可能性がある。ACは愛着を概念とし職務行動や職務満足度と密接に関連している。今回雇用形態による差は無く個々の職務満足度や能力・成果を高めるためには両者のACを高める必要があることが示唆された。そして外来部門において個々の組織コミットメントのより詳細な関連因子を分析していくことが両者の相互理解と看護の質向上へ繋がる手立てであると考えられる。