第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演10群 災害看護

2023年11月8日(水) 13:15 〜 14:15 第8会場 (G314+G315)

座長:村田 美和

[口演Y-10-4] コロナ禍におけるA病院での発熱外来の受診体制構築

―DMAT隊員によるチームビルディングと多職種連携―

増尾 佳苗, 青木 成一 (大津赤十字病院)

キーワード:新型コロナウイルス感染症、外来診療、DMAT、災害

【目的】災害派遣チーム(以下DMATとする)が中心となり多職種で運用した発熱外来で、受診患者の急激な増加に対応した経緯を振り返り要因を明らかにする【方法】発熱外来運営を行ったDMAT隊員である外来師長の半構造化インタビューを行い、逐語録からカテゴリー化した。A病院看護部倫理委員会の承認を得た。【結果】カテゴリー化により明らかになった要因は、①統括チームによるリーダーシップ②役割の明確化③業務の可視化④日々の振り返りであった。A病院の外来受診者数は一日平均1400人である。新型コロナウイルス対策として、病院前にコンテナを使用した発熱外来を設置し、医師、看護師、事務による当番制で行っていた。一日10人前後の受診者数であったが、第7波を迎え、発熱外来に受診者が急激に集まり、混乱した。急遽DMATである副院長中心に同じくDMATである外来師長、放射線科師長、社会課事務2人に加え、内科担当医師で発熱外来の統括チームを編成した。統括チームが災害を宣言し、運用ルールを再構築した。診療のフローを作成し、受付など事務手続きの体制準備を行った。医師は二診療体制にし、医師業務を整理した。看護師は、外来看護師中心に他部署の応援看護師とともに問診を行い診療の優先順位を決定し、継続観察の必要な患者の看護を実践した。統括チームは、診療の進捗状況や業務の流れ、人員の調整などを可視化し、指揮を行った。そして日々変化する状況を参加スタッフと振り返り、ルールの改訂を行った。施設課含むすべての事務職員の参加と外来看護師60人全員参加による協働により、最大受診者数120人、最大スタッフ人員数一日10人で対応することができた。【考察】日本看護管理学会では、新型コロナ感染症対応から学ぶ看護マネジメント10のポイントとして、「非常時であることを宣言し、組織が一丸となって取り組む体制を作る」と基本姿勢を提言しており、今回明らかになった要因を裏付けている。DMATによる統括チームの編成を行い、災害を宣言した。そして役割を明確化し、人員調整や進捗状況の可視化と日々の振り返りによる調整を行った。100人を超える受診者の急増に対し、訓練を受けたDMATによる統括チームの編成は、非常時である状況を共通理解し、多職種の機能を結び付け、それぞれの職種の強みを活かした実践が可能になった。組織が一丸となった診療が実現できたと考える。