第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

Presentation information

口演

口演10群 災害看護

Wed. Nov 8, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 第8会場 (G314+G315)

座長:村田 美和

[口演Y-10-5] 地震災害時に外来看護師が役割を果たすための取り組み

―地震災害時に備えた活動の効果を考察する―

寺石 友香, 山口 亜利沙, 金刺 彩子, 木村 乃里子 (札幌徳洲会病院)

Keywords:外来看護師、訓練、地震発生時外来フロー

【目的】A病院外来は令和2年に震度7の地震発生を想定した外来看護師の初動行動を調査し、災害発生時の安全確保の3原則「3S」と初動の理解不足、緊急時の連絡体制が整っていないという課題が明らかとなり、外来フローの作成、訓練、勉強会、防災用品整備、情報共有システム(以下SNSツール)を構築した。本研究ではその後の外来看護師の行動変容の有無について調査し効果を考察する。【方法】対象:勉強会・訓練を経験しSNSツールを導入した看護師19名。期間:令和5年1月10日~1月27日。1)訓練の効果と必要性、勉強会・資料配布の必要性、防災用品の理解、SNSツールの運用についてアンケート調査し単純集計した。2)外来フローを用いた訓練結果と令和2年度の初動調査結果を比較し行動変容を分析。院内倫理委員会の承認を得た後に、対象者へ研究の趣旨を文書で説明、自由参加とし不利益が生じない配慮を行いアンケート用紙の提出を持って同意とみなした。【結果】アンケート回収率100%。「訓練を通して初動について理解できた」94.7%、「訓練は定期的に必要である」100%、「勉強会や資料を通して3Sについて理解できた」89.5%、「地震災害への備えとした勉強会や資料配布は定期的に必要である」100%、「安否確認と情報共有を目的としたSNSツールの運用は有事の際に効果的である」100%であった。令和2年度の初動調査結果と今回の外来フローを用いた訓練結果の比較では、「設備・備品の被害状況の確認」25%に対し100%、「避難経路の確保」は31.3%に対し94.7%、「出火防止措置」は3.1%に対し100%、「報告」は12.5%に対し100%、「避難誘導」は12.5%に対し100%、「患者指導及び不安の緩和」は84.4%に対し73.3%であった。【考察】令和2年度の調査で脆弱性を認めた項目の実施率が上昇したことは、外来での訓練と初動のフローが効果的であり、「患者指導及び不安の緩和」の実施率低下は、フローを見ながら順を追って行動したため患者の安否確認への声かけなどの行動に抑制がかかった可能性が考えられる。定期的な訓練と勉強会や資料配布、SNSツールの運用は効果的という結果からは、地震災害時の役割に対する認識が高まった事が示唆され、地震災害時の役割遂行に期待が持てる結果となった。