[口演Y-10-6] 出産早期の母親の防災意識の調査
キーワード:母親、出産早期、防災意識
【目的】出産を終えた母親の防災の意識と準備状況を調査し現状を把握することである。その結果、乳児を迎えた家族が災害に備える行動につながる看護介入が導きだせると考えた。【方法】A病院で出産後入院中の母親に、オリジナルの自己式質問票を配布し、回収箱で回収した。分析は記述統計を行い、初産婦と経産婦の2群で比較した。倫理的配慮は、質問票の配布時、研究目的、研究方法、匿名性の保証、研究の協力の有無が診療や看護に影響しないことなどを文書で説明し、質問票の投函で同意を得たとした。調査施設の臨床研究倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】質問票を493人に配布し323人から回収できた(回収率65.5%)。対象者の属性は、初産婦141人(43.7%)、経産婦182人(56.3%)。分娩様式は正常分娩222人(67.7%)、器械分娩38人(11.8%)、帝王切開術59人(18.3%)。職業は専業主婦113人(35.0%)、有職者200人(61.9%)。被災経験は、無310人(96.0%)、有12人(3.7%)。防災訓練の経験は、無118人(36.5%)、有205人(63.5%)であった。防災への取り組みは、取組んでいない59人(18.3%)、取組んでいる264人(81.7%)であった。備品の準備は、していない92人(28.5%)、している299人(70.9%)、未回答2人(0.6%)であった。乳幼児の備蓄品の準備は、していない240人(74.3%)、している83人(25.7%)であった。自然災害への不安は、不安ではない29人(9.0%)、どちらでもない134人(41.5%)、不安である156人(48.3%)、未回答4人(1.2%)であった。災害への意識の変化は、意識しない6人(1.9%)、変わらない108人(33.4%)、意識した205人(63.5%)、未回答4人(1.2%)であった。初産婦より経産婦の方が、防災への取り組み、乳幼児の備品、自然災害への不安、災害への意識の変化が有意に多かった(χ2検定p<0.001)。【考察】初産婦よりも経産婦の方が、自然災害への不安が高く、災害意識も高いことから防災への取り組みは進み、乳幼児の備品の準備ができていた。したがって準備のできていない初産婦への意識づけが必要で、出産したこの機会に具体的に準備するものを伝えることが重要といえる。