第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演13群 看護職間・他職種との協働③

Wed. Nov 8, 2023 10:30 AM - 11:30 AM 第9会場 (G316+G317)

座長:池袋 昌子

[口演Y-13-2] 超選択的動注化学放射線療法を受ける頭頸部悪性腫瘍患者に対する血管造影室看護師と放射線治療室看護師の連携についての実態調査

宮川 由香理, 平岡 真須美, 中野 節子, 乾 早苗, 西山 恵美子 (金沢大学附属病院)

Keywords:頭頸部悪性腫瘍、超選択的動注化学放射線療法、血管造影室看護師、放射線治療室看護師、連携

【目的】超選択的動注化学放射線療法を受ける頭頸部悪性腫瘍患者に対し、血管造影室(以下、造影室)看護師と放射線治療室(以下、治療室)看護師が超選択的動注化学療法(以下、動注)での看護を連携する取り組み(以下、取り組み)を2020年から開始した。取り組みにより造影室看護師の動注を受ける患者への看護実践にどのような影響を及ぼすことができたかを明らかにする。【方法】研究デザイン:質的記述的研究。対象:A病院で2020年以前に動注患者の担当経験があり造影室勤務継続中の看護師。期間:2022年8月~9月。データ収集方法:独自のインタビューガイドにて取り組みによる看護実践の変化等について研究者2名でプライバシーを保てる個室で対象者に半構成的面接を行い、同意を得て録音した。分析方法:面接で得た情報から逐語録を作成し、目的に合致した部分をコード化しKJ法でカテゴリー化した。研究の全過程で質的研究経験者にスーパーバイズを受けた。倫理的配慮:対象者に研究の趣旨・参加の自由意思・個人情報保護等について書面と口頭で説明し同意を得た。【結果】対象者は造影室看護師7名、平均経験年数は造影室6.2年、治療室2.4年であった。取り組みによる造影室看護師の動注での看護実践について45個のコード、18個のサブカテゴリーから《治療室での経験から患者の有害事象を意識し、動注の看護に役立てていた》《患者の現在の身体的精神的な状況を把握しイメージがついた》《患者の身体的精神的な苦痛に配慮した対応をしたい気持ちに変化した》《その時々の患者の身体的精神的な状態を把握し、状況に応じた具体的なケアができた》《取り組み前に比べ、患者の苦痛に対し多職種で連携し対応できた》《取り組み前と変わらない》の6個のカテゴリーに集約した。【考察】今回対象となった看護師は造影室と治療室双方の勤務を経験しているため、放射線療法を受ける頭頸部悪性腫瘍患者との関わりの経験を動注を受ける患者への看護実践の土台としていた。毎日の放射線療法の場で治療室看護師は患者の日々変化する身体的精神的な苦痛を観察し、動注時のケアに焦点を当て情報収集し造影室看護師と共有した。造影室看護師は患者の現在の身体的精神的な苦痛を認識し苦痛に配慮した対応をしたいという気持ちに変化し、その時々の患者の状況に応じた個別性ある具体的なケアの実施や多職種連携に繋がった。