第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

Presentation information

口演

口演14群 高齢者、認知症の人の看護①

Wed. Nov 8, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 第9会場 (G316+G317)

座長:長瀬 佐知子

[口演Y-14-1] 予定外受診をした高齢の呼吸器疾患患者の心理・社会的背景の実態

竹元 愛実, 今澤 美由紀, 阿座上 友里, 三輪 万佑子, 田中 美知代 (山口大学医学部附属病院)

Keywords:高齢、呼吸器疾患、予定外受診、心理・社会的

【目的】呼吸器疾患は治療を継続しているにも関わらず、基礎疾患の進行や加齢に伴い一般的には経年的に肺機能が低下する特徴を持っている。高齢呼吸器疾患患者が適切な受診を行うために心理・社会的な支援は重要であるが、その実態は十分ではない。予定外受診をした高齢の呼吸器疾患患者の心理・社会的背景を明らかにし、適切な受診行動を支える支援の示唆を得ることとした。【方法】対象者:2021年10月~2023年3月に、呼吸器・感染症内科に予定外受診をした65歳以上の患者。調査方法:無記名自記式質問紙調査、診療録調査。調査項目:1)背景 2)心理的側面:STAI(State-Trait Anxiety Inventory-Form JYZ)3)社会的側面:介護保険制度利用、同居家族、慢性疾患患者に対するソーシャルサポート尺度。医師2名により受診行動が遅れたと判断された群(以下遅れ群)と遅れなし群に分け、それぞれについて記述統計後受診遅れの有無を独立変数とし、背景、心理・社会的側面を従属変数として比較検定を行った。統計解析はJMP Pro16を使用。倫理的配慮:A病院 治験及び人を対象とする医学系研究等倫理審査委員会の承認を得た。【結果】対象者は男性44名、女性21名、平均年齢77(SD 5.8)歳であった。パフォーマンス・ステータス(PS)は、0が9%、1が43%、2が23%、3が20%、4が5%であった。遅れ群は全体の55%で、遅れ群のうち72%が受診は適正だったと考えていた。遅れ群はPSが有意に高く(p<0.05)、緊急入院となっていた(p<0.001)。また日中に家族が不在である(p=0.07)傾向にあった。遅れ群の介護保険利用者は19%で、ソーシャルサポート、STAIには両群に差はなかった。【考察】高齢の呼吸器疾患患者では受診遅れが緊急入院につながり、受診遅れを予防することが重要であることが明らかになった。またPSが高く日常生活に制限のある患者が受診遅れになっていた。多くの患者は外来受診時に医療者に相談できているが、受診遅れに気づいていないことから、医療者側から患者の病状や理解度に合わせ、どのような症状で、いつ相談するか判断できるように繰り返し支援する必要がある。また家族不在時の対応について、患者・家族と共に考え、社会資源活用の検討も必要であることが示唆された。