[口演Y-14-2] 入退院を繰り返す慢性心不全患者の実態調査
Keywords:慢性心不全、高齢者、再入院
【目的】A病院循環器病棟で2018~2020年度の心不全入院件数は337件で、再入院件数は83件と全体の24.6%を占める。心不全は入退院を繰り返すことで患者のADL、QOLを著しく損なうことに繋がると考える。そこで、入退院を繰り返す慢性心不全の実態を明らかにし退院支援の質の向上に繋げるため調査を行った。【方法】看護記録や診療録から、基礎データ10項目〔性別、年齢、再入院までの期間、家族背景、LVEF、基礎心疾患、BMI、Alb値、バーセルインデックス、認知機能低下の有無〕、心不全増悪要因11項目〔食習慣、脱水、水分過多、内服忘れ、通院自己中断、飲酒、喫煙、活動習慣、ストレス、感染症、便秘〕、家族の意向、退院先についてカルテから情報収集し単純集計を行った。倫理的配慮として同意および撤回について病院ホームページ上に情報を公開し、研究中止を求める機会を保証した。【結果】3年間にA病院循環器病棟で再入院数は男性38名、女性45名、平均年齢は83.6歳だった。基礎データでは、再入院までの期間は6カ月以内が68名(81.9%)、半年以上1年未満が15名(18.1%)であった。家族背景は同居者あり50名(60.2%)、独居19名(22.9%)、施設入所13名(15.7%)、転院1名(1.2%)であった。認知機能は低下有りが24名(28.9%)、低下無しが58名(69.9%)だった。心不全増悪要因は感染症・肺炎等が58名(69.9%)、便秘が20名(24.1%)、内服アドヒアランス不良が19名(22.9%)、脱水が17名(20.5%)の順に多かった。入院前の水分摂取状況、飲酒や喫煙、活動習慣、ストレスに関する情報収集の不足により記載がないことが多く、具体的な情報を得られなかった。【考察】後期高齢期にある心不全患者は加齢に伴う身体機能の低下、認知機能の低下、家族形態の変化により管理能力及びサポート機能が低下している。高齢者は認知機能、聴力、視覚機能の低下などから聴取が困難である場合が多い。受け持ち看護師を中心として患者・家族・支援者から生活習慣、食習慣の情報を細やかに収集する事が重要である。患者が疾病を抱えながらも安心して地域で生活を継続するため、家族への支援とともに多職種と連携しながら地域での継続的支援に繋げていく事が重要である。