第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演15群 高齢者、認知症の人の看護②

Wed. Nov 8, 2023 2:30 PM - 3:30 PM 第9会場 (G316+G317)

座長:長瀬 佐知子

[口演Y-15-1] 施設入所要介護高齢者の意思表明の程度に関連する要因

古山 陽子1, 奥田 泰子2 (1.YMCA 訪問看護ステーション・ピース, 2.広島文化学園大学院看護学研究科)

Keywords:要介護高齢者、幸福感、意思表明の程度

【目的】施設入所高齢者の看護師への意思表明の程度に関連する要因を明らかにする。【方法】1. 対象者:施設入所中の65 歳以上で会話で意思疎通が可能な者2. 調査方法:無記名調査票を作成し対面での聞き取り調査3. 調査項目1)基本属性:年齢、性別、入所月数、要介護度、日常生活自立度2)意思表明の程度:VAS 法を用いて対象者自身が表明できていると感じる程度を測定3)主観的幸福感:古谷野の日本語改訂版PGC モーラルスケールを5段階で回答を求め因子分析をし、総得点および各下位因子得点を算出した4.分析方法記述統計量算出後意思表明の程度と対象者概要の比較を2群間比較はMann Whitney のU 検定、3 群間比較はKruskalWallis 検定をし、有意差を認めた場合多重比較を行った。意思表明の程度と主観的幸福感はSpearman 順位相関分析を行った。5.倫理的配慮は調査開始前に研究の説明を行い同意書への署名を求め中断も可能であると説明した。【結果】対象者は62 名(男性15 名・女性47 名)、平均年齢は86.4 ± 7.0 歳。意思表明の程度は平均30.8 ± 33.8(0 ~100)。意思表明の程度の違いは、入所月数を均等に3 群(短期・中期・長期)に分け分析した結果有意差を認め(p< .05)、多重比較の結果[短期群]と[長期群]に有意差があり(p< .05)[長期群]が高値だった。日常生活自立度を均等に2群に分けた比較で有意差を認め(p< .05)[低自立度群]が高値だった。意思表明の程度と主観的幸福感総得点(ρ= 0.601)、主観的幸福感第1 因子得点(ρ= 0.479)、主観的幸福感第2 因子得点(ρ= 0.512)、主観的幸福感第3因子得点(ρ= 0.444)に正の相関を認めた。【考察】意思表明の程度に関連する要因では、入所期間が短い者は看護師に自己の意思を表明できていないと感じ、日常生活自立度の低い者は意思表明の程度が高かった。このことは、日常生活の様々な場面で看護師と対話の機会が多い者は要望を伝えるなど自己の意思表明がしやすい環境であると考える。また意思表明の程度と主観的幸福感に相関があり、意思表明が少しでもできている高齢者は幸福感を持てていると推察された。意思表明の程度の少なかった対象者に対して看護師は積極的な対話の機会を設け、要望を述べやすい環境をつくり、思いを伝えたい存在で居続けることが求められる。