第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演19群 住み慣れた地域に戻ることへの支援①

2023年11月8日(水) 14:30 〜 15:30 第10会場 (G318)

座長:小泉 未央

[口演Y-19-1] 地域包括ケア病棟から退院した患者の看護サマリーの内容分析

川森 淳子1, 甲斐 真友子1, 金川 阿未2 (1.済生会今治病院, 2.元済生会今治病院)

キーワード:看護サマリー、地域包括ケア病棟、退院支援、施設への退院、情報共有

【目的】看護職は地域包括ケアシステムの構成要員としての意識をもって対象者の情報を次の生活の場につなぐことが重要な役割の1つである。サマリーは継続看護の「バトン」とも言われ、受け取りやすいように、落とさないように、すぐに援助を展開できるようにまとめた情報で、地域連携成功の鍵を握るとも言われる。サマリーは受け手に分かりやすい記述が必要だが、現状は必ずしもそうではない。そこで地域包括ケア病棟看護師は施設に退院した患者のサマリーにどのような情報を記載しているか実態を明らかにした。【方法】令和4年5月1日~8月31日にA病院地域包括ケア病棟から施設に退院した患者16名のサマリーを対象に基礎情報は単純集計し、看護師が記述した文章は質的に分析した。A病院臨床研究倫理委員会で審査を受け、オプトアウトを行い対象者が研究参加拒否できる機会を保障した。【結果】入院前の生活の場は自宅3名、施設13名だった。退院先は特養2名、地密型特養1名、有老ホーム3名、老健5名、GH2名、サ高住2名、障がい者支援施設1名で、平均年齢は81.4歳だった。記述データより366コードを抽出し、62の小カテゴリーから≪身体状況≫≪日常生活援助≫≪認知状況≫≪ヒヤリハット≫≪医療的に必要な援助≫≪リハビリ≫≪医師からの指示≫≪説明≫≪今後起こりうる状況≫≪今後の希望≫という10の大カテゴリーを導いた。【考察】地域包括ケアシステムが目指す“その人らしい生活”“ACP”は、≪今後の希望≫の中に少しあったが“価値観や希望”に関する記述はより少なかった。サマリーの中で地域包括ケアに繋がる記述は全体的に少なく、地域包括ケアの概念理解を促すために臨床での教育体制整備は課題である。サマリー書式は、認知症については食事や排泄、保清のようにチェック項目ではなく、記載内容は各受け持ち看護師の力量に左右される。チェック項目と記載内容と二重になっている情報も多かった。サマリー書式はA病院独自のものであり、介護支援専門員が必要としている情報であるかは確認はできていない。地域の中で入退院に関する統一した患者家族の情報を共有する書式はないので、地域内の医療・福祉・介護専門職でそのような書式を作成出来たら送受信共にスムーズな情報共有が行えると考える。